2022.4.06「チェック機能」と議員は言うが…
適正な議員定数や報酬、市議会の模様を動画配信するなど議会広報のあり方を協議する議会改革特別委員会(土谷勇二委員長)は先月28日、3回目の話し合いを行った。
委員会発足の当初から、議員定数削減を巡って議員の賛否が分かれている。今回は委員会以外の他議員の考えを知るため、各常任委員会で聞き取りした委員の賛否数が示された。総務文教厚生常任委員会は定数削減賛成2人、現状の定数維持3人、無回答3人。産業建設常任委員会は賛成1人、現状維持6人。議長と無回答を除く議員12人の考えは、定数削減賛成派は3人、現状維持派は9人。現在の段階では、定数16人維持の考えが多数を占めていることが分かった。
議員定数削減を支持する意見は「人口減は税収減につながる。人口に対しての適正数を検討すべき」など。現状維持を支持する意見は「常任委員会の構成に影響する」「現在は本市の人口に適正な数」などが上がった。
議員の役割として興味深いのは「地域に議員がいないと市民の声が拾えない」として現状維持を支持する意見に対し、削減支持は「議員と地域が密着し過ぎると、議員がいない地域への不公平が生まれる」と反論した。
現在、地域の声を拾うためのシステムとして、各地域でまちづくり協議会が設立されている。以前は議員が地域を回り声を聞いてきたが、まち協との連携で議員の役割は変化している。地域重視も必要だが、昨今の本市の状況を見れば、補助金などの財政や正常な運営のチェックなど、市政全体を見渡す目線がより必要とされる。
市政のチェック機能として「定数が減れば、機能が落ちる」と定数維持が適正との意見もあった。一方で「議員数が少ないと責任が増す。多ければ責任感が希薄になりやすい」とあった。
委員会で議員らは市政のチェック機能というが、これまでの議会を振り返りどうだったのか。昨年の白川市長リコール署名活動の引き金となった市の財政状況は、議会のチェック機能さえ働いていれば起こらなかった。さらに言えば、市民サービス低下や補助金削減も事前に回避できたのかもしれない。当紙も議員と同様に、可能な範囲で市政チェックを行っている。だからこそ、チェック機能と声高々に言われても苦笑いしか出ない。
同委員会では、土谷委員長の考えとして「最終的には議員による多数決で決めることになる」という。そうなれば、議員定数は現状維持の線が今のところ濃厚だ。この判断に否を唱えるつもりはないが、市の財政や将来像、市民の思いはどうなのかなど、まだまだ協議すべき点は多い。
しかし、この状況で議員自ら今後の処遇を決められるのか。自らの都合と利益を優先した判断に陥らねばいいが。自らをチェックすることほど難しいものはない。より多くの市民の声を聞き判断することが、正しい方向性につながる。市民による議員チェックがあることも忘れないでもらいたい。