2025.12.223年後の自走化は可能か
市議会12月会議の総務産業常任委員会で、イルカパークの次期指定管理者指定を巡る審議が行われた。市は指定管理料を年800万円から1200万円に増額し、公募を重ねたが応募はなく、結局、3度目の公募で現指定管理者であるイキパークマネジメント1社のみが手を挙げ、議案として上程された。市は「今後3年間で自走化を目指す」と説明するが、審議を通じて浮かび上がったのは、その根拠や道筋のあいまいさである。
イルカパークは単体では赤字が続いており、指定管理者などの別収入に支えられて運営されているのが実情だ。裏を返せば、現事業者でなければ成立しにくい事業構造であり、他に応募がなかった理由を端的に示しているとも言える。公募が成立しないという事実は、施設の魅力発信や事業モデルそのものに課題がある証拠ではないか。
市は過去の指定管理料の推移を示したが、イルカパークは直営時代には年間約3千万円を要した施設であり、現在の管理料水準で安定運営が難しいことは明らかだ。それでも市は「本市観光にとって重要かつ必要な施設」と繰り返す。しかし、重要であるならば、なおさら将来像を明確に示す責任がある。
委員会では「このまま続けるのか」「市直営か」「自走化は現実的なのか」といった根本的な問いが相次いだ。だが市の答弁は「検討する」「状況を見て判断する」に終始し、具体的な方向性は示されなかった。3年後の自走化を掲げながら、その過程や数値目標、観光客増の具体策が見えない以上、再び多額の公費投入に陥る懸念は拭えない。
加えて、相次いだイルカの死亡という問題もある。生命を扱う施設としての倫理性、今後の購入判断などについても、市は「適切に判断する」と抽象的で、市民の不安に十分応えたとは言い難い。
イルカパークは、単なる一施設ではなく、本市の観光政策そのものを映す鏡である。重要だと位置付けるのであれば、あいまいな先送りではなく、市としての覚悟ある決断と明確な戦略を示すべき時期に来ている。現状のまま続けるのか、市直営か、自走か、あるいは施設の方向転換か。そして、本当にこれからの3年間で答えを示せるのか、もはや「検討する」の言葉は、時間的にも予算的にも通用しない。
