2022.12.27高齢者孤独死の問題提起に賛同

 市議会12月会議の一般質問で、3人の議員が市内に住む独居高齢者についての意見を述べた。この問題は、当紙11月4日発行号「命を救う見守りと連携のまちに~独居高齢者の死亡を教訓へ~」と題して1面トップ記事にした。一般質問に取り上げられたきっかけの一つが、当紙記事であったと自負する。今回、問題提起となったことは記者冥利に尽きる。

 この時の記事の一部を再掲する。10月21日、市内の某所で80代後半男性の独居高齢者が自宅で亡くなっているのが発見され、死後約4か月が経過、遺体はミイラ化していたという驚くべき事態が起きた事実を記事にした。壱岐署によれば、自宅での独居高齢者の孤独死は市内でも頻繁に起きているそうだ。しかし「死後数か月経過して発見されたケースは非常にまれ。死後4か月というのはあまりにも長すぎる」とコメントした。約4か月もの間、誰も男性宅を訪れることなく、市包括支援センターの職員が発見したことでわかった。

 本市内で起きた独居高齢者の孤独死は、令和2年12件、3年8件、今年は現在までに11件。この3年間で31件もの孤独死が起きている。関連の質問をした植村圭司議員は「1年間で約10人の孤独死が起きている。一人暮らしの高齢者でも、ボタン一つで緊急通報ができるシルバーホンなどの通報システムがあれば状況が変わっていたかもしれない」という。かつて、旧4町時代に活用されていたが、現在の契約者数は当時の契約者のみで10人に満たない。

 武原由里子議員は「現在は廃止されているシルバーホンなど見守りシステムに変わる、緊急通信システムの取り組みをすべき」と提案した。市も「システムの構築は必要」として、検討する姿勢を見せた。

 音嶋正吾議員は「市は、テレワークや逆参勤交代、SDGsなど推進する事業には積極的だが、この島を支えてきた高齢者への思いやりが足りない。我々が今、生活できるのは先人たちのおかげだ。島外事業者などの優遇ばかりで、なぜ島の高齢者が孤独死せねばならないのか。おかしな社会だ」と声を荒げた。

 音嶋議員は「本市には65歳以上の独居高齢者が1475世帯、65歳以上の夫婦のみが2950世帯ある。市の総孤独社会への積極的な対策が必要」と警鐘を鳴らす。

 議員の発言には大いに賛同する。みんなの助けも支援もない高齢者や、見守りすらまともにしてもらえない独居高齢者がこの島には多くいる。この事実をしっかりと認識し、行政と民間が協力し合いながら高齢者が住みやすい安全安心の町にせねば、将来の我が身に跳ね返る。何が優しさで思いやりか、この島には何が必要なのかを考え実現せねば、独居高齢者の孤独死はこの先も続く。