2019.10.01自然災害対策は早急の課題

 先月22日から23日にかけて、台風17号は本市付近を通過した。強風と大雨が降る中、連休に予定されていたイベント中止の影響はあったが、建物や道路への被害は最小限で済んだ。

 9日に関東地方に上陸した台風15号の影響は予想を超え、今でも千葉県内では停電が続き、完全復旧にはまだ時間を要するようだ。さらに、先月28日に佐賀県を襲った集中豪雨でも、冠水などの甚大な被害が起き、本市からも市民ボランティアが現地に向かい、支援活動を行った。もはや異常気象の定義すら通用しなくなっている。本市においても、2年前に集中豪雨に見舞われ、地滑りなどの土砂災害や道路陥没、田畑への被害や河川氾濫、家屋倒壊の未曾有の事態を経験している。

 

 8月28日深夜から29日にかけて降り続いた大雨による本市の冠水被害は、記憶に新しいところだ。2年前の豪雨と同様に、この時にもまた「50年に一度の記録的な大雨」として記録され、48時間で約450㍉もの雨が降り続いた。特に大雨に見舞われた郷ノ浦町と石田町は「土砂災害に関する警戒レベル4」で避難勧告発令となった。

 今回の台風17号は、台風が通過する22日の早い段階から市では各4町に自主避難所を開設し、万が一の被害に備えた。頻発していることから、もはや自然災害は当たり前に起こると想定の上で、日頃から準備や対策を講じておかねばならない時代となっている。

 

 千葉県での断水や停電復旧を難航させているのは、道路や民家沿いにある杉の木が倒れ、電線を寸断し、さらに復旧作業でも道路をふさぐように倒れた木々が遅れの原因だそうだ。武雄市の冠水被害も、町を通る河川や山に囲まれた地形ゆえに、民家が建つ平地に雨水が押し寄せたのも理由にあるという。豪雨などの自然災害は、その地域の最も弱点となるところから被害が拡大していくようだ。

 本市の場合、ほとんどの民家は急傾斜地の下に建っている。また、県が調査した土砂災害の危険警戒エリアも多く、地滑りの危険を常に注意せねばならない。

 

 町田正一議員は市議会9月会議の一般質問で「近年では集中豪雨が頻発している。本市は急傾斜下に家屋があり、特に漁業集落は危険と考えられる」と問題定義した。また、議員は本市が抱える地滑りなどの土砂災害危険エリアの解釈からさらに一歩踏み込んだ意見として、「家屋が密集する地域の傾斜地はコンクリートで補強されているが、安心とは言い切れない」と警鐘を鳴らす。これら傾斜地のコンクリートは設置から50年以上が経過し、老朽化も著しくコンクリート寿命の問題もあると指摘する。だからこそ、計画的に長期ビジョンを持った上での対策の必要性を説く。

 

 これまでの記事でも度々書いてきた事だが、災害による被害は起きてからでは遅い。日頃から考えられる対策を講じ、未然に被害を防ぐことが市民の生活と命を守ることにつながる。予想を超える規模の自然災害は、その地域の弱点を突いて被害が発生する。ざっと市内を見渡しても弱点になる場所は多い。議員が言うように、計画性を持って早急な対策をせねば、事が起きてからでは後悔することになる。手立ては迅速かつ効率よく、そして先見の明を持つ事だ。(大野英治)