2024.6.11気を引き締めて仕事せよ

 新市政となり、新たな本市の姿や安心安全で住みやすいまちづくりを期待してはいるが昨今、行政の仕事のあり方に疑問を感じざるを得ない事案が多発している。下記に詳細を記すが、明らかに仕事への取り組み方と怠りが招いた事案ではないかと思える。気を引き締めて業務に取り組んでもらわねば、失態は繰り返されかねない。

 

市議会5月会議で分かった行政の不手際

 市議会定例会5月第2回会議の先月27日、市は芦辺町在住の市民2人に対して損害賠償費17万9726円を支払う旨を提出した。しかし、その賠償内容があまりにもずさんすぎるものだった。

 議案には「市内に在る危険家屋(空き家)の所有者が死亡していたため、市で相続人を調査し、空家等対策の推進に関する特別措置法第22条第1項の規定に基づき、空き家等の適正管理の助言・指導について文書で通知した。これに対し、通知を受理した相続人のうち3人が、相続放棄の手続を司法書士へ依頼したところ、当該3人は相続人ではないことが判明した」という。いわば、単純な行政によるミスと怠慢が招いたものと考えられ、結果的に市は、損害賠償の相手方が司法書士に依頼した費用を賠償することになった。

 要するに、空き家の相続人を間違って特定し、間違いのまま手続きを依頼し、その上で手続き費用まで発生してしまったというお粗末なもの。行政の仕事に対し、市民は信頼して任せているのだが、このようなことではその都度、仕事内容を疑ってかからねばならない。市議会もこのあきれた議案を審議せねばならず、ばかばかしさこの上ないのではなかろうか。

 一応、市の言い訳を記す。「本事案の危険家屋の所有者が死亡のため、市では相続人を調査し、相続人と判断した市民に対し、空き家の適正管理に関する助言指導の文書を通知した。その後、今回の損害賠償の相手方から相続放棄の手続きの依頼を受けた司法書士からの指摘により再調査したところ、本市が相続人と判断した市民より相続順位の高い相続人が別に存在することが判明した」と詳細を説明した。今回の事案が起きた原因として「相続人を調査するにあたり、調査不足と確認不足」と理由を述べた。

 調査と確認不足とはどういうことか。市は、相続人を調査する過程で、市外の役所から戸籍を取り寄せるなどの調査を行い、電子化された記録が届いた。しかし、転籍後の戸籍の経過は、電子化された記録のみでは確認できない場合もあるため、電子化前の改製原戸籍も取り寄せ合わせて調査する必要があった。その改製原戸籍の調査にミスがあったわけだ。

 結果として、仕事上の怠りにはなるが、複数職員によるダブルチェックなど回避する方法はいくらでもあったはずだ。大切な市民の個人情報を扱っているとの認識を持たねば、今後もマイナンバー手続きなど不手際が起きる危険がある。

 

点呼せぬまま置き去りの出場選手

 先月25日、第24回県障害者スポーツ大会の市選手団壮行式が開催され、本市からは、陸上競技やフライングディスクなど6競技9種目に出場する選手30人と役員ら11人、合計41人の選手団が長崎市と諫早市の会場に向かった。

 唐津港から長崎市方面へバスで移動する際、途中のパーキングでのトイレ休憩で考えられないトラブルが起きた。トイレ休憩後、乗り遅れた選手に気が付かずに再びバスが出発してしまった。その選手は置き去りになり、バスは道中で気が付き、再びパーキングにUターンするはめになった。バスに乗車していたスタッフによれば点呼はなく、バスの座席も指定はなくバラバラだった。そのため、隣に誰が座るのかわからず置き去りの発覚が遅れてしまったという。

 市担当課の事前準備や選手団の取りまとめの不備など、原因は複数に及ぶ。今回の事案も、落ち着いた行動ができた選手だから良かったものの、場合によっては会場入りや出場に影響する可能性があった。

 これら以外にも、表面化されてはいないが、市政による不手際は起きているのではないか。もう少し市民が安心できるような仕事ぶりができないものだろうか。改善がなければ市政のトラブルはまだまだ続くのではないかと危惧する。