2024.7.02正常な手続きと市民の声を聞く市政に

 へき地保育所閉所の問題が一向に解決のめどがつかないことから、市議会総務文教厚生常任委員会(以下、総務委員会)は21日、へき地保育所の存続を望む会(以下、望む会)から問題点と要望事項について、共同代表と意見を交わした。

 望む会は、「認定こども園建設計画の時、当初は柳田と志原は残すような説明を受けたが、いつの間にかへき地保育所すべての閉所の考えを知った。いつそのような方針が決まったのか。きちんと保護者に説明して、みんなの声を聞いたのか。周辺の保護者は説明がなかった」という。

 また、「民間の保育所も武生水保育所も定数いっぱいで、へき地の子どもが入るとあふれてしまう。他の園や町と言われても毎朝毎日のことになり、日常生活の負担にもなる。認定こども園建設がはっきりするまで、へき地保育所を残してほしい。もう決まったことで終わらせるのではなく、意見を交わせる説明会を開いてほしい」と言う要望を総務委員会で訴えた。

 先月30日の篠原市長と面会した印象では「市長も、方針に沿っているのでこのまま続行すると言う。市長の回答を聞いた他保護者らは、もう少し保護者に寄り添った考えを示してほしかったと悔しさをにじませていた。もう少し実際の保育所を見て考えてもらいたい」と強く訴えた。

 24日、総務委員会は市いきいろ子ども未来課(以下、担当課)へ聞き取りし、へき地保育所が閉所に至る経緯や手続きなどを問うた。委員は「市長からの諮問文書はあるのか。通常ならば文書が存在するはず」と問い、担当課長は「昨年3月の認定こども園建設の事業者撤退により、白川前市長から今後のことを子ども子育て会議で図ってくれとあった。正式な諮問文書はない」だった。諮問書がないまま担当課は同会議に図り、昨年8月7日に白川前市長に答申があったという。この答申はこれまで議会や市民にも公開されず、今月、市ホームページで公開された。これまで公開しなかった理由は「答申は市長への指名であり、伝えなかった」といい、「市民と議会には市の方針は示した」と付け加えた。

 他にも、答申といわれる内容には「保育の確保量など数字を見直していくものには、事業撤退や閉所も含んでいる」などの補足説明があり、担当課は「市は、閉所に向けた方針に変わりはない」との考えを幾度も続けた。

 望む会と担当課への聞き取りで気付くことは、認識の相違だ。望む会は説明がなく、意見を聞いてもらう機会がなかったという。担当課は充分な説明をしたという。これでは双方の考えが交わるはずはない。

 社会一般の話をする。説明する側がいくら説明はしたと言っても、受け手側(市民)が足りないと言えば、さらに説明を重ねなければならない。これがいわゆる説明責任だ。重要な方針や決定事項は、必ず文書と責任者の印がある上で進めるのが常識でありルールだ。担当課は諮問書はないと言い、諮問にあたるものは、前市長から口頭で指示を受けたのみと言う。民間企業であれば「契約書(正式文書)も印もない。顧客から説明がないとクレームがあるが、私は説明しているつもり」など発言しようものなら、即取り引きは中断だ。場合によっては計画中止もあり得る。

 発信者側(担当課)の説明不足と文書の不存在、客(市民)の声も意見も聞かない、問題の原点に立ち返らない。これでは住民サービス向上などほど遠い。篠原市長は「進化し続ける市役所、シン市役所の実現へ」といい「職員の力が十分に発揮できる組織体制の構築」を掲げるが、本当に大丈夫か。不安しかないのだが。