2024.7.23有力者の口利きはなかったのか
前号1面に掲載した、郷ノ浦町のツインズビーチ沖に設置している防波堤の一部撤去工事が思わぬ反響を呼んでいる。掲載後、当紙には市民から複数の情報提供があり、一部の地元住民も、今回の工事について疑問を持っていたことがわかった。情報の中には現段階では裏が取れておらず、掲載するには時期尚早だが、驚くべき内容も寄せられた。書ける範囲で記せば、ある市内有力者の口利きがあった可能性を示唆するものだった。
この口利きが事実であれば、同工事に至るまでの市民要望から工事着工までのわずか2週間ほどの異常なスピードもつじつまが合う。前号で記した「誰が何のために行った工事だったのか」の疑問についての情報提供もあった。これらすべてを掲載するには再度、取材を続けねば確実な裏取りができないが、状況証拠から見れば十分にあり得る話だった。
工事の経緯は、5月下旬ころに市内2公民館と1協議会が市に対して要望書を提出したことが始まりだ。誤解を生まないために補足するが、この3者は平成29年度にも防波堤の撤去に関する要望をしていたため、何ら疑うべき部分はない。おそらく、地域で話し合った上での再要望だったのであろう。
疑うべきは、やはり要望から工事着工までのわずか2週間ほどの期間にある。公共工事の常識で考えればあり得ない早さだ。本来ならば要望を受けた市は本当に必要な工事なのか、予算はどれくらいなのか、要望場所の状況確認など内容を精査し、それなりに時間を要する。その上で、港湾工事関係の所管である壱岐振興局に要望書を提出し、県も同様に精査をした上で工事の判断を行うはずだ。どう考えても半月弱でできるものではない。
過去記事でも繰り返し論じてきたが、公共工事は税金だ。市民、県民の血税の上で予算が組まれる。決して個人的なことや、有力者が利するために行われてはならない。
本市はこれまでにも、権力者や有力者による工事入札などの優遇措置が暗黙の下で行われてきた経緯がある。過去にあった公共工事に関する県警捜査や選挙にからむ入札指名外しなどいくらでも思い浮かぶ。今回は新市政となり壱岐新時代を看板に進めているが、もしも同工事が暗黙で進められていたのならば、これまでと何も変わらない。
さまざまに寄せられた情報提供の内容は、公共工事のあり方について疑わしき状況に触れるものだったが、事実はそうではなかったと言えるよう願いたい。