2018.12.25契約書と法律の解釈が争点か
市ケーブルテレビ指定管理者業務移行が難航している状況から、市議会産業建設常任委員会は政策企画課担当者らを交えて状況の確認や現在起きている問題点などを話しあった。常任委員会からは「個人名が出る場合もある」との理由で、マスコミはシャットアウトされた状況で議論している。
しかし市ケーブルテレビは多くの市民が利用しており、インターネットやIP電話など、今後どうなるかの不安要素が拭えないことから、当紙は多角的な取材により可能な限りの状況把握を行なった。以下はおそらく常任委員会で報告されたと思われる、市と壱岐ビジョンの主張内容になる。
今月3日に市と壱岐ビジョンで代理人弁護士を交えて協議をした。その時に話し合われた内容から、市と壱岐ビジョン側の弁護士は「市民利用者が困らないようにすることは最優先」とした。
壱岐ビジョン側は「当初の指定管理者の設備についての無償譲渡はできない。前指定管理者が行なった業務は、協定書上、指定管理者業務としてあるが、インターネットサービスやIP電話サービスなど、指定管理者業務を超えて独自に設備投資を行ったものを引き渡すことは不当利益にあたる。これら管理者外の独自サービスの契約者情報や引き落とし口座など、個人情報は提出できない(個人情報関連の法に抵触する)。引き継ぎの内容は知的財産やノウハウに基づく情報が含まれ、同業他社には渡せるものではない」とする。
要するに、指定管理者業務の内容が記載された協定書は認めているが、会社努力と独自投資してきたものに対しての権利には、指定管理業務を超えて行なっていたものがあり、その分に対しての引き渡しは法のもとに難しい。また譲渡しようにも、利用者が契約時に記入した個人情報の取り扱い問題が起きる。さらに壱岐ビジョン側から見れば、光ネットワークと九電工という新指定管理者は同業他社でもある。本来ならば競い合うべき両社が、そう簡単に知的財産やノウハウを出せるものではない。
この問題の根源には、指定管理を開始した当初に交わした協定書に、管理業務を超えたものの扱いが解釈によって変わるなどの不明確さがあったのではないか。市は協定書に基づく主張をし、壱岐ビジョンは法律に基づくルールの主張をする。「協定書」と「法律」のどちらが有効かが争点だろう。どちらも自らの正当性の主張となる。
今後は25日に再び弁護士による協議を行う。この問題を追うたびに繰り返して言うが、市民ら利用者がサービスを利用できないことや、面倒な再契約や再設定を強いられるような利便性に反することだけは避けてもらいたい。(大野英治)