2018.6.26健全な運営と正常化に向かうか

健全な運営と正常化に向かうか

芦辺町の東部漁協組合員による新漁協設立の動きは衝撃が走った。時代の流れは分裂よりも統合の流れであるが、現在までの表面化されている部分、さらにはまだ表に出ていない内部事情が、設立への動きに繋がっているものと思われる。
 新漁協設立には多くのハードルがあるそうだ。経営的な収支の目処や組合員数の確保、卸ルートの確保など乗り越えるべき課題は山ほどある。しかし発起人らは「全てがクリアになる状況が出来ている。あとは認可に進むのみ」と明るい見通しを語る。

 今回の動きと時を同じくして、市議会には「壱岐海域における海砂採取に関する陳情書」が漁協設立発起人の一人から提出された。この陳情内容は今年3月14日、市と県に対して要請しているものと同じだ。
 過去の記事にも「壱岐の漁業振興と自然と海の環境を破壊しないよう保護する事を目的として、市と県に対して陳情を提出。壱岐沖海域での海砂採取の中止勧告を要請。約2週間に及び市内各所で署名活動を行い、市民約2000人の署名を添えた」と掲載している。
 陳情には、昨年8月22日に平戸沖の海域で海砂運搬船が沈没し、乗組員3人が死亡する大事故となった海砂採取業者について触れる。壱岐海域での海砂採取を中止し、平戸沖に沈没した海砂運搬船の早急な引き上げを要請している。その理由が、この沈没事故を起こした業者が壱岐海域で海砂を採取しており、同社の船が平戸沖で沈没したことは、間接的にであっても平戸海域の自然環境に影響し、島外にも迷惑をかけたからだという。

 海砂採取にしても、海域での操業を生業にしている漁師にしても、漁協が関連していることは言わずもがなである。収入と生活のため、様々な利権が絡むのはどの組織でもあることだが、度を超えてしまうと方向性を見失いがちになる。
 漁協の内部事情は表面には見えない。今月末には総会が開催されるが、マスコミは入れず、取材許可も難しい。他の漁協でも大きな変化が起きる話も聞く。この変化が正常化に向かえばいいのだが。(大野英治)