2026.3.02介護予防の空白をどう埋めるか
介護と認知症予防に関する会合を傍聴し、市が直面する課題の本質が浮かび上がった。人は誰しも年を重ねる。高齢化は一部の人の問題ではなく、現役世代を含めた社会全体の将来像である。
介護保険では本市の65歳以上は9403人。要介護認定者は2184人で、認定率は23・2㌫。市人口の約4割が高齢者という現実は重い。だが、数字以上に深刻なのは「認定を受けていない約7300人」の実態である。
介護予防や認知症教室は開催されている。しかし、参加者は毎回ほぼ同じ顔ぶれで、約300人が循環しているにすぎないという。参加するのは比較的元気で意識の高い層だ。では、参加していない多数の高齢者はどうしているのか。関心がないのか、外出できない事情があるのか、あるいは支援につながっていないのか。その実態把握こそ急務である。
本市は高齢者世帯や独居世帯が多い。民生委員や地域の見守り活動は続けられているが、把握が十分とは言い難い。「誰一人取り残さない」という理念は重い言葉だ。真に問われているのは、支援の網からこぼれ落ちる人をどう拾い上げるかである。
生活支援コーディネーターやまちづくり協議会の取り組みは評価できる。しかし、自助・共助の担い手である老人クラブや公民館活動も縮小傾向にある。地域の基盤が弱まる中で、従来型の「集まってもらう」方式だけでは限界がある。
介護保険の給付データは整っている。だが、本当に必要なのは「給付を受けていない人」のデータである。まだ元気に見えるが孤立している人、外出できず家に閉じこもる人、支援を求める声を上げられない人。そこにこそ、予防の焦点を当てなければならない。
超高齢社会は避けられない。ならば、発症後の対応だけでなく、発症前の予防と孤立防止に力点を移すべきだ。戸別訪問や個別フォローの強化、地域単位での小規模な見守り体制の再構築など、地道な取り組みが求められる。
高齢化は統計の問題ではない。一人ひとりの暮らしの問題である。参加している人ではなく、参加していない人に目を向けること。それが壱岐の介護予防を次の段階へ進める第一歩ではないか。
