2022.2.15今一度、市政の清浄化をすべき時
入札指名外し民事訴訟の判決を受け、一部の市民や議会からは白川博一市長に対して説明を求める声がある。市議会1月会議の先月24日、裁判判決について市長は議場で「市への賠償金請求は私が支払う」「控訴するのは私ではなく市」「残念な結果だった」と一応は説明をした。しかし、肝心となる入札指名を回避した理由は述べられていない。
その後の記者会見には、冒頭から15分間の時間制限が設けられた。報道数社が集まる中の計15分のみで一体何が聞けると言うのか。市長は以前、市議会で「どういう行動をしたのか、どうなったのかなどの経緯を、市民に詳しく説明する約束をする」と言っていたが、その答えがわずか15分の質疑のみなのか。
市民に対しては、同会議の全員協議会と本会議で「市政を混乱に招き、心配と不安をかけたことをお詫びする。今回の事態を真摯に受け止め、これまで以上に市の振興発展と市政運営に取り組ませていただきたい」と述べている。しかし、これも市長の一方的な発言のみで、本当に市民に向けた言葉なのか。市民は本当にその発言に納得しているのか。他に市長自らの言葉で聞きたいことがあったとは思わないのか。
そもそも、市政の混乱や不安などは当然のことだ。市長個人の判断による誤った権力の行使があったことを裁判長は認めた。そのため、判決では明確に「裁量権の逸脱、濫用があった」とし、現職市長に対しては極めて異例の厳しい判決を言い渡している。この行為がどれだけ市民には脅威となり、不安へとつながっていくのか。市政の混乱は想像するまでもない。
白川市長は4日、原告の(株)壱岐産業の眞弓倉夫氏に面会を申し入れ、判決後に初めて旧同社事務所で顔を合わせている。立会人の話によれば「市長は判決を真摯に受け止めるとは言ったが、謝罪の言葉はなかった」と言う。議場や記者会見でも原告への謝罪の弁や、自ら行なった「裁量権の逸脱、濫用」の謝罪と説明は述べられていない。
一部市民から「こんなことに時間をかけるより、観光や経済、コロナ対策など島の活性化に力を注ぐべき」という声がある。この意見を間違いとまでは言わないが、賛同はできない。
例え話だが、ごみで溢れかえった部屋に高価な家具や電化製品を買い揃えても、それは快適な暮らしといえるだろうか。汚れ切った衣服をまとう人が高価なアクセサリーを身に付けていたら、人はそれを素敵と思うのか。これが現在の本市の姿だ。
市が抱える問題点にふたをするより、思い切った清浄化を経てから島の活性化や振興をすべきだ。市民と行政が一丸となれる活性化策はそこから始まる。坂本龍馬の言葉を借りれば「壱岐を今一度、洗濯いたし申し候」。