2024.3.19九州郵船は建造への決意を

 老朽化と更新時期を迎えているジェットフォイルの今後について市航路対策協議会は先月22日に会議を開き、九州郵船に対し、「ジェットフォイル更新に関する要望書」をまとめ、同月27日に同社へ質問と要望を提出。同社より2日、回答が届いたことを白川博一市長は市議会一般質問で市山繁議員の問いに答える形で公表した。

 質問には「ジェットフォイルの更新に関する同社の方針、更新のための条件等について」を問うとし、同社は「同船の老朽化が進行しており、更新の本格的検討が必要な時期に来ているものの、現在就航している同船の建造時と比べ現在は船価が相当高額になっており、自社単独での更新は難しい。国、県、市による一定の公的支援が必要であると考えており、今後の公的な支援の検討状況を踏まえ、更新についての具体的判断を行っていきたい」という旨の回答だった。

 この回答から、白川市長は「今後、助成などがあれば、建造する意思があると明確に示されている回答だと理解した」と見解を述べた。

 これまでも繰り返し記事にしてきたが、本市で就航しているジェットフォイルは2隻とも建造から30年以上経過。全国の離島では18隻のジェットフォイルが就航しているが、そのうち17隻は船齢が約30年を経過している。40年以上経過したものが3隻あり、各離島の航路維持問題への懸念が高まっている。ちなみに、ヴィーナス1が1991年4月建造の32年、ヴィーナス2が1985年4月建造の38年の経過だ。いつ、故障などのトラブルが起きても不思議ではない。

 事実、6日付の同社のホームページには「ヴィーナス2において、ガスタービンに不具合が発生し急きょ交換が必要となった。このため、6日の博多15時55分発芦辺経由厳原行きが欠航となった。現時点で、7日から最短で12日まで緊急ドック配船として運航する」とある。すでに老朽化の影響は頻繁に起きている。

 市山議員は「早急に新船建造など更新を進めねば、今後の航路維持にもかかわる問題」と危機感を強める。白川市長も「市民生活の足としてだけではなく、本土の医療機関への迅速な患者搬送にも重要な役割を果たしている。加えて観光促進、移住・定住促進への貢献度も多大。本市の将来を見据えたとき、ジェットフォイルの利便性を確保することは、本市の振興発展と国境離島の人口減少抑制につながる重要事項の一つ」と市山議員の考えに同調している。

 議会後、市山議員は記者との話で「これまでも更新をと言い続けてきた。誰かが声にして言わねば進展はない。船価の高騰はあるが、まずは九州郵船自ら積極的行動を」と話した。

 就航当時の建造費は25億円ほどだった。2020年に25年ぶりに同船を新造した東海汽船(東京都)は、約50億円に倍増、現在は円安や資材高騰のため、約70億円以上になるとの試算だ。このままであれば、いずれさらに建造費が高騰する可能性もある。

 2022年11月に成立した改正離島振興法では、船舶更新に対する支援についての配慮規定が明記された。県は最重要課題として、平成28年度から国へ政策要望を提出し、他の関係自治体に共同での提出を打診したともいう。行政側は何とかしようと動いているのだ。

 白川市長は「導入当時に比べ建造費が大幅に高騰し、航路事業者の負担のみで同船の更新を行うことは困難な状況であることは理解している。しかし、更新はあくまで航路事業者が実施主体であり、その決意がなければ前進はない」という。まずは九州郵船が更新への決意と積極的な働きかけを行うことがこの課題のスタートではないだろうか。