2020.3.23それでも2頭購入で可決に

 壱岐イルカパークが、市議会や市民の間で話題となっている。良い話題ならともかく、イルカ3頭の死により同施設の運営や管理への疑問の声が強い。

 壱岐イルカパークは平成7年にオープンして以降、勝本漁協や地域住民らの協力により約25年にわたり運営してきた。市は、昨年4月25日から指定管理者としてイキパークマネジメント株式会社(高田佳岳代表)に運営を委ねた。同社の設立資本金100万円のうち、市が25万円を出資している。同施設は、アウトドア関連やカフェ営業、イルカとのふれあいや体験を盛り込んだメニューで収益基盤を固めることを挙げ、リニューアルに踏み切った。この時、飼育しているイルカは5頭だった。

 リニューアルオープンから約1週間後の昨年5月3日、2017(平成29)年3月に購入した推定4歳のオスのイルカが死に、同年12月28日に推定15歳のメスのイルカが死ぬ事態となった。さらに今年2月28日には推定18歳のメスのイルカが死んでいたことがわかった。わずか10ヶ月ほどの間に3頭が死んでいる。

 壱岐とイルカの歴史の中で、約40年前の1970年から80年代にかけて、壱岐のイルカの追い込み漁が世界中でニュースになった時期がある。そのことから、植村圭司議員は予算委員会の席で「過去の歴史があって今の施設があり、またイルカに関する面で注目を浴びやすいと考える。イルカパークができた経緯の中で、過去にイルカの惨劇があり、これ以上イルカが異常に死ぬ事例があってはならない」とし、「収益を重視した営業ではなく、命を重視したサービス提供に趣を置いてもらいたい」と念を押した。

 壱岐に長く住んでいる人なら理解できると思うが、壱岐のイルカ漁は当時、残虐な行為と受け取られて世界中から攻撃された。漁業者の生活もあり、やむを得ない行為だったが、世界の道徳はそれを許さなかった。だからこそ、壱岐ではその後、イルカへの新しい考え方や、「人もイルカも同じ島民」の意識が生まれた。

 同施設指定管理者については、昨年の管理者選定から市議会でも多くの議論があった。昨年3月の市議会で、音嶋正吾議員と久保田恒憲議員から「議決を経ず選定している。また、市の同社資本金出資も説明を受けていない」と疑問を呈した。これに対しての市の説明は「予算は全員協議会で説明した。非公募での選定理由は、地方創生推進交付金事業により同施設再生を行う事業推進として設立した法人によるため」とし、理解するには難しい答弁をしている。同社は2018(平成30)年11月、同施設内に会社登記をしている。

 同社の高田代表は2018(平成30)年5月10日のフェイスブックに、白川市長、他市職員と食事会を開いた様子を投稿し、「リゾートやるよー、市長さんとの約束の握手!内容はまだ秘密」と書き記している。この時の約束とは何なのか。同施設指定管理者の約束でなければ良いが。指定管理者選定は、明らかにこの約束事後だ。どちらにしても、公の職務の首長と内密の約束とは聞き捨てならない。(大野英治)