2022.1.06「正しさ」で行動する年に
2021年の10大ニュースをまとめながら、一年を振り返った。2020年の年末号では「コロナに振り回された一年だった」の言葉から書き記した社説だが、今回も同様にコロナで始まりコロナで終わった。
2020年末から2021年初めにかけて、市職員の宴会による感染拡大は、クラスター(感染者集団)発生にまで至った。これにより、飲食店の年末年始の書き入れ時の客足はぱたりと止まり、帰省客や観光客も途絶えた。全国的な流行とはいえ、宴会による感染拡大は、小さなこの島への影響は甚大だった。さらに市職員らの宴会以前に、市長ら三役と議員市職員幹部が会食を開いていた事実までも発覚した。
市の財源不足により、補助金削減など住民サービスも低下した。数年にわたり現市政を見てきた記者にとって、市長や執行部による財政状況の説明は、発言が二転三転する印象を受け、大きな矛盾を感じるに至った。誰がどう見ても「財政が健全のはずはない。ならば、なぜ、サービス低下など市民生活に影響が及んだのか」と疑念は募る。
これらコロナ禍での会食事実や財源不安を理由として、市民団体らによる市長へのリコール署名運動が4月に巻き起こった。生活に影響が及んだ市民からすれば、当然の行動だった。
市教育委員会、教育長への不信感が募る問題も発生した。教育長のパワハラと思える行為と教育方針の疑問を、現職教師が告発により追及した。一部には権力の行使であろう行為も垣間見えた。過去には、入札執行の疑義や、芦辺中校舎建設で、住民から不信の声も上がったことがある。
繰り返し起こる各問題は、組織に問題があるから。事態はこれで改善したとは思っていない。今後も厳しく追及を続けるつもりだ。
8月は市議選があり、新たに選ばれた議員による市議会が始まった。これまで市民から「どうせ誰がなっても変わらん」の声を幾度も聞いた。諦めの心は停滞を招く。まずは正しいと思うことを考え、正しい行動をすれば変化は起きる。今回の市議選は、よりよい島を目指していく一つの分岐点と捉えたい。そして是か非か、市民が判断した結果は今後見えてくるはずだ。
時代はコロナ禍により大きく変わった。経済も自治体運営も然り。時代に沿う「正しさ」を持って新たな年にしたいものだ。