2019.12.301億4000万円のリゾート事業は白紙に、健診センター建設は次年度に延期

 市は、今年度当初予算で可決した1億4000万円の事業「壱岐島リゾートアイランドプロジェクト」を事実上の白紙とし、健診センター建設用地選定を次年度以降に延期するとして来年3月議会で減額補正することを決めた。1億4000万円のリゾート事業は、施設予定地が未定のまま多額の予算が動くことから、市民の間で計画発表時から疑問の声があった。中止の判断は、応募があった2社の審査基準が市の規定に達しなかったため。健診センターは、市議会から建設用地の不適性が問われたことから採決を保留としていた。両案件とも施設建設用地の選定が進まず、計画の不透明さが強まった。

 

1億4000万円のリゾート施設事業。今年度計画は中止、次年度以降も未定

 市議会3月会議に計上し、今年度当初予算で可決した1億4000万円の事業「壱岐島リゾートアイランドプロジェクト」が計画中止となり、次年度以降も未定となっていることがわかった。

 市観光課の説明では「計画施設の企画提案公募に、2社から応募がきたが、市が定めた審査基準に達しなかった。計画当初から3年間計画であり、再公募をかけても次年度以降になるため中止と判断した」と理由を述べた。また、次年度以降の計画も白紙に戻す意向であることもわかった。

 同計画は、市が富裕層を島内に誘致するため、新たな施設を構築するとして市議会に上程された。しかし、計画当初から施設予定地は未定のまま企画があがり、「島内の穴場的な用地に宿泊施設を建設」とだけ示された。また、宿泊費が一泊10万円と高額な設定も根拠が不明。総事業費1億4000万円のうち、施設建設や運営システム構築などの施設整備費に1億1500万円の予算が組まれていた。

 さらに、現在島内で経営する宿泊施設にも魅力向上補助金として、2500万円の予算を投入し、内外装や水回り、Wi-Fi環境やキャッシュレス対応などの設備投資を支援する計画があった。7月の時点で、8件の宿泊施設が確定していた。

 予算を計上した3月議会で議員から「既存の宿泊施設との競合は大丈夫なのか」などの意見が上がり、施設予定地の選定を公募で決定した企業に丸投げする姿勢に疑問が起きていた。

 

健診センター建設は次年度以降に再提案へ

 市議会3月会議の今年度一般会計予算で、県立壱岐病院横を建設用地として提案が上がった健診センターは、計画内容を再検討した後、次年度以降に再審議となった。

 同センターは、増加傾向にある高齢者人口や社会保障費増大に対応するため、市民の健康寿命延伸に向けた活動の拠点となる施設の整備が不可欠との判断から、今年度当初予算で開発計画に必要な業務委託費、領地買収費などの予算を計上していた。

 3月議会では、市が提案した建設用地についての疑問が議論の焦点だった。議員から「他にも市有地がある。なぜ新規に購入するのか。計画にある用地は、産業廃棄物処理場跡地であり、そのため地質調査費に880万円がかかるという。適切な用地なのか」などの意見が出された。

 市議会は「この案件は保留にすべき」とし、白川博一市長も「凍結する」と判断した。その後、市議会総務文教厚生常任委員会で再検討が予定されたが、白川市長は12月会議で「担当部署と協議を重ねた結果、早急に結論を出すことは困難であること、年度の当初予算では骨格予算となることから今年度予算からの執行は保留として、来年の3月議会で減額補正をし、次年度意向、計画内容を精査したのちに再度提案をする」とした。