2020.4.28飲食や観光に島内循環型の支援策

5月7日から市内飲食利用の商品券を発行、宿泊利用の半額など

 

 市は市議会定例会4月会議開会の17日、本年度4月補正予算で新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた事業者への支援策として、市内で使える商品券を発行することなどを決めた。白川博一市長は「まずは市内経済の活性化。コロナ禍が終息した後、市内事業者がなくなってしまっては元も子もない」として市長選後初の政策に意気込んだ。商品券は主に飲食向けの利用とし、5月7日に4万枚を発行する。また、利用客が激減した宿泊施設を支援するため、市民利用が目的の宿泊費半額支援を打ち出した。消費が冷え込み売り上げが減少した市内個人事業主などへ画期的な支援策となるか注目だ。また、市は「他産業も視野に入れ、第2弾の支援策も考えている」とした。

 

 

 4月補正予算では、2つの「新型コロナウイルス感染症対応緊急経済対策事業」の支援策が盛り込まれた。

 1つ目は、消費が低迷する市内飲食店など商工業への支援だ。市は、市内飲食店や宿泊施設で利用できるプレミアム商品券を2回にわたり発行する。市内飲食店や宿泊施設は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で利用客は激減し、早急な支援が望まれていた。

 1回目の商品券は5月7日から4万枚発行、利用期限は6月末までを予定している。商品券は1セット8千円分を5千円で販売し、ひとり4セットまで購入できる。2回目は7月上旬に予定し、1セット7千円分を5千円で販売、ひとり5セットまで購入可能。どちらも通常の商品券よりお得感が増す。

 また、支援を求める中小企業が助成金などの申請手続きを円滑にできるよう、社会保険労務士などによる申請手続き支援の事業費115万円を決めた。市内商工業を支援する事業補正額は計1億1575万円。

 2つ目は、主に観光産業への支援。市内観光業は、全国的な新型コロナウイルス感染拡大の影響で過去に例を見ない危機的状況まで消費が落ち込む。支援は特に利用者が激減して甚大な影響が起きている宿泊事業者や観光バス事業者に対して行う。2月以降から現在までの宿泊キャンセルは、約1万1千人におよび約9千万円の減収となった。同期間の観光貸切バスのキャンセル数は600件で約6千万円の減収と、観光業のダメージは深刻だ。

 この状況から市は観光業への支援として、市内宿泊施設への市民利用を助長する市内宿泊施設利用促進事業を決めた。市民が市内宿泊施設へ宿泊する場合には半額で利用できる。全体事業費は2千万円、補助金額は半分の1千万円。

 また、市民向けの市内周遊観光貸切バスツアーの企画・運営も支援する。市民はバスツアーを、個人負担1人千円(昼食付き)で利用できる。全体事業費2250万円、補助金額は2千万円。事業に係る事務費125万円を含め、全補正額計3125万円を上程した。

 これら2つの経済対策事業の財源は、全て新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金からの支出になる。4月議会で上程した市独自の緊急経済対策事業費の補正額は、計1億4700万円になる。

 支援事業の内容について飲食店店主は「他の事業者や住民も厳しい経済状況の中、これで客足が伸びるかどうか。しかし、他に頼る手がない」と厳しい表情。また、市民からも「密閉、密集、密接の3密回避が呼びかけられる中、ツアーバス内での感染は大丈夫なのか」などの不安の声がある。さらに宿泊施設利用には「市職員が率先して利用するよう奨励」とあり、市民利用推進への消極さも見られる。また、白川市長は「今後、新たな感染者が出た場合は、これら支援策は即刻中止にする」と付け加えた。

 経済支援対策は、国や県の施策も見極め、市商工会と連携するなど、何ができるか考える時期にいる。また、市独自の支援策を立て続けに打ち出さねば、島内経済維持は難しい。活性化策よりも事業者の維持継続策が急がれる。

(市議会の質疑は本紙に掲載)