2021.3.23財源不足、「勉強不足だった」と白川市長

財政不足の原因で「私に大きな責任がある」と釈明

 予算特別委員会(市山繁委員長)が12日に開かれ、令和3年度の当初予算を審議した。市議会2月会議で白川博一市長は「市の財政は不足している」と苦しい財政状況を初めて口にし、3月会議の当初予算では、事業縮小や住民サービスの予算削減や廃止、行政施設の運営見直しなどを示した。財政不足から当初予算では18億円の基金取り崩しで不足分をまかない、一部市民対象の事業補助金も軒並み減額とした。白川市長はこの事態を「中期財政計画の中身についての勉強不足」と釈明した。

 

 令和3年度の当初予算には、初山地区の高齢者などの交通移動手段確保のための乗合タクシー運行や、行政サービス向上のための共同電産システム導入、漁港や郷ノ浦港港湾整備などの新事業が加わった。既存の予算では、まちづくり協議会やウルトラマラソン開催運営、SDGs事業などが計上され、昨年度予算から18億2千万円減の218億2千万円で可決した。

 予算審議では、SDGs事業について小金丸益明議員が「関連事業に年間1億9千万円が拠出され、モデル事業として島外業者などに委託料を支払っている。この事業を進めるSDGs未来課は市長の政策事業課だ。しかし、同事業は市民に理解されないどころか、市民団体などの予算から削られている。さらに新たにスーパーシティ構想も掲げている。委託料で島外企業が群がり資金が出ていく。縮減を明言してもらいたい」と意見した。白川市長は「進めていかねばならない事業だが、内容を精査し縮減を含めて検討する」とした。小金丸議員は「あさっての方向を向いた事業で、身近なものではない。市民の不満もそこにある」と意見を付け加えた。

 植村圭司議員は「東京事務所はふるさと納税39件で148万円を売り上げたとある。しかし、年間予算約1千万円かかり、うち6割は事務所代と交通費になる。このまま継続して効果があるとは思えない。この事業費を削れば、予算を削減した他事業が救われる」と意見した。白川市長は「ひとつの事業は3年間経たないとわからない。来年度の成果を見て考えたい」とした。

 白川市長が掲げる「財政立て直し元年」は補助金の見直しに及んだ。主な補助金減額は、▽自治公民館運営費92万9千円減▽まちづくり協議会運営費2039万5千円減▽雇用拡充事業6千万円減▽65歳以上のはり・きゅう・あんま費409万9千円減▽老人クラブ各種競技大会費10万3千円減▽老人スポーツ大会16万4千円減▽老人入湯券340万1千円減など。他には、市連合遺族会、社協ボランティアセンター活動費、シルバー人材センター、家畜導入事業など畜産関連、商工祭などのイベント関連。

 

明確な根拠が示せない予算計上に怒りの意見

 市教育委員会(久保田良和教育長)は、東京2020オリンピック開催に向けた聖火リレーの当初予算に1346万3千円を計上した。内訳は、謝金や会場設営、警備、シャトルバス借上料などが含まれる。市教委は市議会3月会議の一般質問で議員から予算額の指摘を受け、予算特別委員会では見直し案として約674万を新たに計上した。

 県内17市町で、聖火リレー事業費として最も多額なのは、佐世保市の約3700万円、続いて南島原市1830万円、長崎市約1608万円で、次が本市になる。他は180万円から700万円以内に収まる予算だ。県内離島では、五島市約274万円、対馬市約440万円。本市と同規模の市では、平戸市約262万円、西海市222万円、松浦市約351万円など。当初予算に示された1346万3千円は、県内都市圏に匹敵する多額の予算となっていた。

 予算額に対して、小金丸議員は「なぜ、聖火リレーにこれだけ多額の予算が必要なのか。県内他市町と比較しても高額だ。離島比較で見れば最も多額の予算になっている。財源不足による削減と言いながらこの予算額を組んだ根拠は何か」と問うた。

 久保田教育長は「県からの情報が少なかった。後に国からガイドラインが示され、予算の見直しとなった」と理由を述べた。小金丸議員は「予算の見直しとは言うが、それでも県内他市町よりも多額だ。他離島ともかけ離れている。差額の約670万円は予算削減となった敬老祝金が出せる金額だ」と意見した。久保田教育長は「他市町がどうするのかもあった。本市の場合は福岡市と近いため、警備の強化を求められた」とした。

 小金丸議員は「情報不足や国のガイドラインというが、他市町も同じ条件と時期に予算を組んでいるはずだ。本市の予算が高かったことの言い訳にはならない。予算編成がずさんではないのか。まじめに組んだ予算なのか」と厳しく問い詰めた。久保田教育長は「詰めが足りなかった。今後はこのようなことがないようにする」と反省を述べた。

 

財源不足の原因を議員が厳しく問う

 町田正一議員は、市議会2月会議と3月会議で白川市長が発言した「市の財政不足のため、従来通りの住民サービスを維持していくことが困難」などの発言に対して、説明と理由を求めた。

 町田議員は「市長が本市の財政は健全だと言うのは、財政指標が健全であるとの意味だと言う。しかし現実に市にはお金がない。対処には人件費を削るか事業をやめるかしかない。なぜ、この時期になって、今回のような補助金を削るなどドタバタが起きたのか」と問うた。

 財政課長は「中期財政計画では、年度毎の見込みで5年先の収支の計画を立てている。年々財源不足が深刻になり、基金残高が減少している。このことは各部署にも伝え、予算編成の中でも説明はしてきた。しかし、現実的にそのような見直しが行われず現在のような状況になっている。財政指標は健全であるとしか申し上げようがない」と説明した。

 白川市長は「この問題は、私に大きな責任がある。なぜこうなったかについては、中期財政計画の中身について私の勉強不足であったということになる。ここまで説明と対応が遅くなったのも、私の勉強不足」と釈明した。