2022.3.29思い実る!学校給食でパンが復活

令和5年4月から市内各小中学校へ週1回供給で検討進む

 

 約2年前に廃止された学校給食のパンが再開する見通しが高まっている。給食センターでは、9月から各校へのパン食供給を段階的に開始し、来年4月から週1回の給食パンが復活しそうだ。2020年4月以降、学校から給食パンが消え、生徒や児童、保護者からは復活を望む声があがっていた。卒業生からも、慣れ親しんだ思い出の味が学校から消えることを惜しむ声があった。給食パン復活を望む声を受けた市は検討を重ね、ようやく再開にこぎ着こうとしている。

 

 市議会3月会議の16日、来年度当初予算を審議する予算特別委員会で、給食センター長は「パン食復活に向けて検討が進んでいる」と答弁した。

 給食パンに関する内容があったのは、学校給食費の項目の「給食センター改修工事」について。832万4千円の予算計上には「保管場所のスペースが手狭になり、作業スペース確保のため。また、設備の劣化により職員の作業に支障をきたすために改修工事が必要」との説明がある。

 給食センター長は追加説明として「現状では以前のような週2回のパン食でも十分なスペースがなかった。今後のことを踏まえ、十分な作業スペースの確保が必要とされることが予算計上の理由」として、パン食供給も見据えた改修工事との考えを示した。

 給食パン復活に踏み込んだのは山口欽秀議員の質疑だ。議員は「先般開催されたPTA連合会で『米飯ばかりになっているが、パン食はできないのか』と意見があった」として、給食パン廃止の理由と今後の見解を問うた。

 給食パンは、県学校給食会と島内パン業者との契約があり、その流れから給食センターは県学校給食会と契約が交わされ各校に供給される。本市の小中学校では、2019年までは週2回がパン食で3回が米飯だった。しかし、2020年4月からパン食が廃止となっている。

 市の説明では、給食パン廃止に至った理由として「これまで学校供給のパンを製造していた業者から、高齢になったことと後継者がいないことが伝えられた。県学校給食会に対して業者から『今後、パンの製造ができない、今年度(令和元年度)で辞めたい』との申し出があった」と説明した。

 その後も県学校給食会では、市内で各校への供給量が製造できる業者や、市外の業者から冷凍パンの供給などの検討を重ねた。しかし、短い期間での対応は難しいと判断し、給食パン廃止に至っている。

 2020年、市内小中学校校長やPTA代表、各校給食主任、給食センターなどのメンバー54人で構成された市学校給食運営委員会を開催。同委員会内にある献立委員会で「再び給食パンの供給ができないか」と話があがり、県学校給食会へ再開に向けた検討を伝えた。

 給食センター長の説明では「現在、パンの製造供給ができる市内業者が見つかった。このことから、給食パン復活が現実化となり検討が可能になった」という。