2018.10.30市と県は運営側に原状回復指示

「縄文祭」あとの筒城浜広場、芝生の傷みに住民はため息

 

 市観光大使を務める前田沙智(以下Happy)氏主催の筒城浜ふれあいキャンプ場で13日に開催した「縄文祭」は、観客動員数が1500人から2000人とも言われ、ステージの機材や音響設備など前例がない規模で行われた。開催前から市民の間では賛否の声が聞かれたが、開催後にも様々な波紋を呼んでいる。その一つがステージ撤収後の芝生の傷みで、今後の対応や修復への疑問が問題視されるなか、市と県はイベント運営側に原状回復の指示を出した。

 

 縄文祭は13日の午後6時から深夜0時半まで続いたイベント。市観光大使のHappy氏が主催し、主に島外に参加を呼びかけ多くの来場者が会場に詰め寄せた。会場設営のために開催数日前から重機等が芝生広場の中に入り、ステージや音響設備を設置した。同様にイベント終了後も撤収作業のため、2日間ほど重機類が芝生広場内に入り作業を続けた。

 後日、会場となった広場を訪れた市民から当紙に連絡があり、芝生の一部に傷みと変色があることがわかった。現地にて確認すると、会場設営された部分の芝生が変色や傷みとともに一部が剥がれ、さらに重圧による地面の硬化などが見られた。

 市内園芸店に芝生の補修について尋ねると「重機が通って下がった地面は回復しない。芝生は自然には治ると思うが時間がかかる。1年から2年はかかるかもしれない。これから寒くなる時期は芽が出にくく、しばらく自然回復は難しいのでは」と答えた。

 市観光商工課は「自然公園区域になり、県と市で施工業者の立ち会いのもと、原状回復の指示をイベント運営側にした。今後はイベント運営側の責任で、今週末までに芝生回復の施工スケジュールを書面で提出してもらうようにしている」とした。原則的に芝生の回復施工は、イベント運営側が全て責任を負うことを決めている。

 同イベントで、運営側が市から会場周辺を使用する契約は10日午後3時から15日午後12時まで。当日はふれあい広場キャンプ場や体育館の使用もあった。当初予定になかった体育館使用は、参加者らが芝生広場で寝袋で野営の予定が、天候急変による大雨のため急遽室内での宿泊に変更されたことによるもの。

 島の景観は皆で作り上げた宝。市民の一人は「安易な判断で景観を失った」とため息をついた。