2018.8.28国定公園内工事を無許可で執行

 昨年11月に着工、12月に完成した少弐公園(芦辺町)周辺の工事で、県に報告せずに進めていたことが市民の情報提供でわかった。少弐公園は国定公園に指定され、自然公園法では県知事への報告をせねば工事を行うことができない。しかし市は県に申請する責務をせずに行っていた。情報提供者は「明らかな法令違反。無知か怠慢か追求すべきだ」と憤っている。市担当課は「住民の安全な生活を優先しての結果。現在は県への事後報告を進めている」と述べた。

工事箇所は昨年6月末から7月初めにかけて発生した豪雨による影響を受けた少弐公園駐車場付近。豪雨の際に民家に雨水が流れ込み床下浸水が発生。以前より住民から大雨時の浸水被害対策の要望を受けていた市は、昨年11月から12月にかけて工事を進めた。
 しかし少弐公園周辺は元寇史跡などがある国定公園で、自然公園法の適用内になる。今回の工事の場合も県への報告義務は必要となる。
 自然公園法で、国定公園は「国及び公共団体以外の者は、環境省令で定めるところにより、都道府県知事の認可を受けて、国定公園事業の一部を執行することができる(第16条3項)」となっている。
 また同法17条には「施行に必要な限度において、その国立公園事業若しくは国定公園事業の執行状況その他必要な事項に関し報告を求め、又はその職員に、その国立公園事業若しくは国定公園事業に係る施設に立ち入り、設備、帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる」とある。
 要約すれば国定公園である少弐公園の場合、何らかの工事や事業を行う場合には事前に県知事に対し報告と許可が必要になる。公共団体(壱岐市)は必ず県知事の報告と許可を行わねばならず、報告を怠った工事は違法となる。
 自然公園法は「自然の風景地を保護し、地域住民が憩いの場として使えること、さらに公園内の動植物の保護や育成を守り、壊さないようにとの意味で定められている。
 工事を担当する市観光商工課は「手続き等の認識不足だった。今後はきちんと確認しながら、間違いが起きないように対処していく」と謝罪の弁を述べ「現在は改めて県に対し所定の手続きを進めている」と述べた。
 しかし自然との景観に沿う工事だったのか、県への事後報告では不透明さが残る。景観を損なう工事と判断される可能性もある。今後の成り行きに注目すべき点は多い。