2020.10.20交通ビル、危険な外壁一部撤去、ようやく進展

 交通ビル(郷ノ浦町)の外壁の危険箇所撤去工事が7日から始まり、商店街側のビル側面に足場が組まれている。折しも同日、台風14号が九州南部を通過し、強風が吹き荒れる中での工事開始となった。これまでも強風や台風などにより、その都度ビルの外壁ははがれ、ここ数年では老朽化により外壁落下が頻発し危険にさらされていた。

 ビルに隣接する「ふれ愛通り商店街」は一部通行止めになり、各商店の営業に影響を及ぼしている。かつては人通りも多く、島のメインストリートとして知られていたが、今ではその面影もない。「ふれ愛通り」と銘打つが、数年前から危険性が問題視され、「ふれあえない通り」となっているのが現状だ。

 今回の工事の詳細について、市危機管理課は「市が行っている工事ではない。所有者が発注した工事と聞いている」と回答した。ビル周辺住民も同様に「数日前に所有者がビルを訪れて工事業者に発注していた」と話した。ビル所有者による危険箇所回避の一部工事がようやく始まった。

 しかし、ビルの老朽化は外壁だけにとどまらない。コンクリートの劣化により、天井部には大きな穴が開き、雨が降るたびに内部に雨水が侵入していることが予想される。さらに、内部には有害物質が残っている痕跡もある。先月の台風9号と10号の際に、周辺の道路に「アスベスト(石綿)」と思われる個体が散乱した。アスベストは内部の建材に使われ、発がん性があるとされる。今後、調査の必要がある。

 今回の工事開始に、周辺住民は「危険な状況回避から半歩前進できた」と胸を撫で下ろすが、「安心できるまではまだ道のりは遠い」と話した。工事は17日に終了予定。計画ではビル側面の壁面材を全て撤去していくようだ。