2021.6.08リコール署名6603人で目標達せず

市選挙管理委員会への署名簿提出を断念

 市民団体「壱岐の未来」(藤尾和久、久間初子共同代表)による白川博一市長へのリコールの署名数は6603人(目標署名数に対し約82㌫)にとどまり、目標署名数に達しなかった。同団体は、昨年4月の市長選で当選し4期13年の白川市政のあり方に「我慢の限界、改善の余地はない」として、4月27日から市長リコールの署名活動を開始、先月25日に活動期間を終えた。本市のリコール署名数は、署名開始から30日間で有権者数2万1832人(3月1日現在)の3分の1にあたる7278人分の署名簿提出が必要だった。同団体は目標署名数に達しなかったことから、市選挙管理委員会への署名簿提出を断念した。

 

 4月27日から始めたリコールの署名数は、開始当初の1週間で1日平均400人を集め、活動開始の約10日後となる5日には、約3000人に達していた。同団体が目標とした署名数は無効署名数を考慮し8000人とした。署名活動期間の約30日のうち3分の1に当たる10日間で、約4割近くに達していたため、署名開始から25日目あたりで目標数に達するものとみられていた。

 しかし、先月1日に本市で新型コロナ感染が再び発生し、感染拡大防止のために同月6日から11日まで戸別訪問による署名を停止した。この間、約6日間は元オサダ駐車場前(郷ノ浦町)でのドライブスルー方式の署名や、同団体事務所で署名受付のみの活動となった。受任者の動きも新型コロナの影響を受けた。署名を集めて回った受任者数は、同団体の発表では20代から90代までの160人と発表。新型コロナ感染の収束以降、活動を再開した受任者は感染の恐れなどから当初の予定人数を下回った。

 先月9日以降、市内のコロナ感染も収束に向かったことから再び戸別訪問を開始し、18日時点で署名数は約5800人。5日に集計した3000人以降、6日から18日までの12日間で2800人の追加署名数と当初の勢いも落ち、市内コロナ感染拡大による影響が顕著に現れる形となった。同団体によると、「新型コロナ感染が収束に向かう以降の残り3週間は、1日平均200筆の苦しい状況になっていた」という。リコール活動を妨げる大きな障壁は、署名開始のわずか5日後に起きた新型コロナ感染と時期が重なってしまったことが状況を大きく左右した。

 結果的に、期日までに有効署名数に達しなかったため、解職請求の提出を断念、集まった署名簿はすべてシュレッダーにかけたあと溶解処分した。

 署名活動を終えた1日、同団体事務所で報告会見を開いた。藤尾共同代表は「署名を妨害する圧力などに憤りはある。残念な結果になったが、今後の市政運営に影響を与えることはできた。市民にも市政に目を向ける機会となった」とこれまでの活動を振り返った。

 久間共同代表は「約6千人の署名で市への不満などの声を聞けた。多くの市民の声や思いを感じ取れたことの意味は大きい」と述べた。

 吉野誠治顧問は「現市政の問題は市長や市議だけの責任ではなく、市民の考えが変わらないと市政は変わらない。自らの考えで判断することだ。市民に対して平等なトップでないと今後も良い市にはならない」と市の将来を憂いた。

 白川市長は「真摯に受け止め、これまで以上に市民の声に耳を傾ける」とコメントした。