2019.4.02高齢者に優しい町づくりに

 本格的な高齢社会到来を前に、社会構造の見直しをせねばならない状況にある。特に高齢者による交通事故は増加の一途にあり、各自治体は免許返納を推奨している。しかし、現実的には代わりとなる通院や買い物の足はどうなるのかなどの問題が残り、高齢者をとりまく社会環境は決して優しいとは言い難い。

 市は公共交通機関の再編計画を進めている。本市や他離島は、都会に比べ公共交通機関よりも自家用車で移動することが多い。理由としてバス便の少なさや、都会などのような電車や地下鉄など交通手段の選択肢が少ないこともある。計画は運行できる公共交通機関に限界はあるが、現在運行中の交通機関の見直しで利便性を上げようというものだ。

 

 内閣府は、平成30年度高齢者社会白書に現状をまとめた。それによれば、平成29年度において「急速に高齢化が進み、平成29年10月1日現在、65歳以上の人口は3515万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)は27・7㌫と約4人に1人となっている」と報告している。さらに国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば「2036年には、33・3㌫と3人に1人となり、2042年以降の人口減に伴う高齢者人口が減少に転じた後も高齢者率は上昇を続け、2065年には38・4㌫に達する」とされている。

 平成29年の本市の現状では、人口2万7266人に対し、70歳以上の高齢者は7247人となっている。ちなみに十数年先には高齢者となる50歳から60歳代の世代は、7921人で、両人口を合わせると、本市人口の半数以上を占めることになる。

 

 市議会3月会議の一般質問にも、スクールバスに市民混乗は出来ないかとの発言があった。また、乗合タクシーを必要とする声もある。福岡県糸島市では、小型バスを用いたコミュニティバスが運行し、通常のバスが通らないルートをカバーすることで住民の利便を図っている。

 現在の社会には、少子高齢化の波を止める画期的な術はない。ならば現状を受け入れた早急な対策は必要だ。高齢者に優しい町づくりこそが、暮らしやすい町づくりの第一歩になる。(大野英治)