2020.9.22高額の随意契約は妥当なのか

 市議会9月会議初日の10日、久しぶりに議論が白熱した議場を見た気がした。各議員が言うように、通信機器の更新工事に関する議案を即日上程し、即日採決をしなければならない理由を、市は明確に示さなかったことで、傍聴席の記者にも疑問と不信感が募った。

 企画振興部長は質疑の最後に、「工期の関係で早めに検討し工事に着工すべきと考えた」と言うが、どうも釈然としない。約2億円もの高額工事になれば、議会としてきちんとした審議を経て採決するのは当然であり、市もそれだけの金額であれば、審議が必要とわかっているはずだ。考えたくはないが、即日上程で即日採決の理由は、すでに九電工へ発注予定ということはないだろうか。あり得ないこととは思うが、そうであれば議会軽視も甚だしい。

 さらに疑問は残る。今回の契約は2億7225万円を随意契約とし、市は地方自治法を契約理由としているが、そもそも市財務規則の第83条には随意契約の限度額を示している。6項目を定め(1面の表に記載)、市の規定で随意契約は30万円から130万円までを上限としている。しかし、今回の随意契約は、その限度額をはるかに上回る金額だ。市は、財務のガイドラインにより妥当な契約と説明をするが、市の条例や財務規則を探してもどこにも記載がない。市財政課は「市職員向けの内部資料」というが、無公表規約では意味がない。このあたりの整合性はどうなのか。

 さらに、市ケーブルテレビに関して、3月議会での今年度当初予算では、「地域情報通信基盤施設に関する施設整備の維持・管理および改修業務」として、市ケーブルテレビ施設の維持管理費などに1億5615万3千円の予算を可決している。

 今回、同施設に関して上程された予算と合わせれば、4億円以上もの設備工事費となり、かなりの高額となる。無論、当初予算と今回上程されたGIGAスクール構想の整備予算は別物だが、同じ施設内の工事になるのであれば、並行することで工事費の削減ができたのではないか。

 経費の無駄を削減することは行政の責務でもある。当初予算の可決から今回の上程予算まで約半年の期間があるが、計画性を持って施工することは可能だった。必要な設備とはいえ、1施設に4億円以上の高額な工事費になるからこそ、可能な限りの経費削減は必ず必要となってくる。このあたりに関して、市の考えはどうなのかも知りたいところだ。

 今はどの民間会社も経営維持のために経費削減を必須とする。それは行政も同じことだ。経費を削減する余地があれば、必死に無駄をなくしていく努力をせねば、いずれ財政は逼迫する。

 どちらにしても、随意契約に至る納得材料が少なかったことは否めない。しかし、議会運営委員会は本会議前に議案を目にする。その段階で気がつかなかったのだろうか。(大野英治)