2021.8.03議会改革を求める声高まる

※投開票前の記事になります。

 市議選候補者の顔ぶれがそろった。今回の市議選ほど候補者の予想のつかなかったことはない。5月ごろまでの状況では、ほぼ定数に近い候補者と思えた。

 しかし、市議会2月会議で市長が述べた「市の財源不足」で状況は一変した。経費削減のため3月会議で今年度当初予算に挙がった「住民サービスの低下」「補助金の削減」「文化施設などの休館や廃館」。市は「財政は健全。市の将来に負担を残さないための財政改革だ」と説明したが、多くの市民の理解は得られなかった。数人の議員は財政改革に反発したものの、結果的には比較的穏便な議論を経て全面的な可決で終えた。

 この流れを受け、一部の市民が決起し、市民団体を発足。補助金削減や、高齢者の生活への影響が問題となった住民サービス低下などに怒りを覚え、責任の所在は市長にあるとしてリコール署名活動に発展した。加えて、新型コロナ感染拡大防止を呼び掛ける立場にある行政職員側と議員が、昨年12月にともに会食に参加したとして議員の資質も問うた。この件も、議場で謝罪の弁を述べただけで、議員の責任の取り方は曖昧なまま終えることになった。このわずかな期間の出来事が、市民の市政に対する考え方の変化や関心を引くことになった。

 これら一連の経緯が、「盛り上がりにかける市議選」と当初予想された流れを一気に変えた。新人候補者の中には、リコール署名に参加した受任者が立ち上がった。参加はせずとも、「今の市政や議会を善としない」「市の将来のために今こそ議会を変えるべき」とする候補者も現れた。結果として、財政不安を引き金に、盛り上がりに欠ける選挙が大いに盛り上がる選挙へと変わった。

 もしかすると、これらの流れは一部の現職議員には厳しい状況を招くかもしれない。しかし、しっかりと市民目線で民意に沿った働きをしていれば、厳しい事態を招くことはないだろう。一票にこれまでの働きの結果が表れる。当選した場合には改めて自らを振り返り、新たな気持ちでよりよい働きをしてもらいたい。