2022.3.08誰のため、何のための議会か

 市政の混乱や失態、不信などから本市ではたびたび市民による抗議活動が沸き起こる。今回の入札指名回避による民事訴訟の判決は、またしても市民の間で不信を生み、市民活動が起きようとしている。

 現在、島内各所で市政不信を訴える声が聞こえ始めた。ある市民団体関係者は「入札指名外しによる判決で、裁判長は恣意的に行ったとして『裁量権、すなわち行政を進める中で市長に許される判断の余地、許容範囲の逸脱、乱用があった』とあり、市長として許されない行為」と言う。他関係者は「市の懲罰規定に市長は含まれないという。しかし、一般職ならば免職だ。なぜ市長は免罪扱いなのか」と首を傾げる。

 過去を振り返る。昨年4月、市の財源不足を理由とした住民サービス低下や補助金削減の施策、新型コロナウイルス感染拡大の対応などに不満があるとして、市民団体が白川市長の解職(リコール)署名活動を開始した。

 市民団体が市長に向けた解職請求には「市民はこれまで市長の施策や態度を見守ってきた。しかし、ついに我慢の限界を超え、将来に対する不安も到底払拭できない状態となった。もはや市長の政策や判断を信用することができない。よって、私たちは市民の良識と責任において市長の解職を請求する」と訴えていた。

 2015(平成27)年、旧4町の役場に分散している各支所の配置、建物の老朽化から、利便性の向上にもつながるとして方針を示した市役所新庁舎建設は、市民の間で賛否に意見が割れた。この時にも市民団体が立ち上がる事態となった。

 住民投票に判断を委ねるまで混乱をきたし、結果的に「庁舎建設に賛成」4629票、「庁舎建設に反対」9703票(無効票177票)、投票率63・67㌫で新庁舎建設を断念した。

 定期的と言っても過言ではないほど、現市政では市民と行政のぶつかり合いが起きている。議会は傍観的立場を貫く。市民と行政の間をつなぐのが市議会議員の役割。このわずか数か月の議会を見ても一部の議員を除き、他は傍観者に思える。

 議員は市民の一票で仕事を託される。誰のため、何のための議員なのか。市民団体が立ち上がる理由の一端には、議会の不信が含まれているとの自覚と危機感を持つことも必要であろう。