2022.3.22裁判と議会、発言の矛盾

 市議会3月会議の一般質問で森俊介議員は、「指名外しの裁判で『代表者の信頼がなくなれば会社が信頼できない』を理由として、市長は入札指名から外したという。ここで市長は法人と個人は同一としている。イルカパーク指定管理者の税金滞納で市長は法人と個人は別物と言い、両発言は矛盾している」と意見した。

 この矛盾点は、民事訴訟判決後の市長への記者会見の場で追及し、当紙1月28日号の1面に掲載した。この時の市長は「指定管理は法人の募集だった。裁判は(会社代表による)誹謗中傷を受けた会社ではなく、代表者の言葉に対しての指名回避」と説明した。この答弁について、当紙は「意味が分からないのだが」と返した。

 今回、森議員の質問に対して、白川市長は「裁判での発言は、私への誹謗中傷と経営不安によるもので、指定管理者の件とは別物」と答えた。この答弁もやはりよく意味が分からないのは筆者だけだろうか。

 そもそも、市長は1月の記者会見と今回の議会の答弁で「誹謗中傷を受けた」と強調するが、これについては疑問がある。原告の壱岐産業の眞弓倉夫元代表にインタビューした当紙2月25日号掲載の記事は次のような内容だった。

 「昨年10月5日、長崎地裁の尋問で白川市長は『眞弓さんから、白川は人事で芦辺の人を優遇している、芦辺以外は沈没する、石田のクリーンセンターを潰し芦辺に造る、ワンマンで偏っているなど、私の人格を否定する誹謗中傷を受けた』と語っているが、事実無根である。さも、私が語ったように事実に反することを公言された」と否定している。

 同日の裁判では、この市長の主張に対して、尋問した弁護士は「原告の発言は白川氏個人ではなく、政策に関することではないのか」と否定した。改めて思うが、市長が誹謗中傷を受けたと言う言葉は、やはり個人に対してではなく政策批判に思えてならない。このような不明瞭な発言を現在も繰り返し主張する姿勢は、フェアではない。

 結果として、このような矛盾を抱えたまま決定したイルカパーク指定管理者について、市は「今後の公募では代表者の納税も確認する」として改善を示した。この対応自体が「法人と個人は同一か別か」への判断の過ちを認めているようにも思えるが。