2021.7.13結論は新たな市議会に託す

今も当紙には市の財政状況についての問い合わせが続く。「市の財政は健全との理解でいいのか」「3月議会で市は財源不足と言っていたが、その3か月後の6月議会では基金の積み増しができたと言う。何がどうなっているのか」「財政は健全であれば、なぜ市民サービスの低下や高齢者向けサービスのカット、市民団体などへの補助金削減をしているのか」など、至極当然な疑問であろう。

 市長は2月議会から3月議会にかけて、「市の財政は財源不足になっている。将来に負担を残さないために、市民にも痛みを強いることになる」という内容の発言を繰り返している。しかし、6月議会では「3月の当初予算で、市の財政について『勉強不足だった』と言ったが、現状の財源を確認するいとまがなかったことの意味。結果的に『財政は健全』であり、私の判断に見誤りはなかった」と発言した。要するに、確認不足であり、財政に問題はないという旨を述べた。

 「確認をするいとまがなかった」。単なるこれだけの原因と理由で、4月末から5月末にかけて市長リコール運動が起きたのか。確認をする時間がなかったため、当初予算ではさまざまな住民サービスや補助金がカットされ、その影響を今も市民がかぶる事態が続いているのか。

 もしも、この「確認をするいとまがなかった」を言葉のまま受け入れるならば、その後は確認をして現状の把握ができているはずであり、その上で「財政は健全」としているのであろう。市や市長は確認不足のまま採決をしてしまった当初予算を一旦見直し、早急に確認した上での予算組み替えをせねば、市民が今も受けている補助金削減などの痛みは続き、この矛盾は消えない。今後の補正予算で追加すれば済む問題ではない。非は非として認めるべきだ。

 そもそも、本当に財政は健全なのか。市が年末に公表する中期財政計画を確認してみる。同計画は「市財政の現状を正確に把握し、現状分析に基づいた財政収支を見通すことにより、財政の健全性を確保し、今後の財政運営や予算編成の指針とする」ものであり、市政運営の最重要に位置する。

 平成30年公表分、将来の見通しの考察は「財源不足になる見込み。不足分は基金の取り崩しにより解消する」。令和元年は「令和元年度以降は財源不足になる見込み。以下同」。令和2年では「不足する財源について財政調整基金及び減債基金の繰り入れで補てんする計画とする」とし、加えて令和6年度の基金残高は、わずか6千万円になる見通しとしている。

 ここから先の検証は報道の役割ではなく、議員の仕事になる。市議選後の新たな議会で議論を重ね、必ず納得する答えを導き出してもらいたい。議員の働きを注視させてもらう。