2021.7.06本市に合った感染防止対策を

 先週末、再び島内で新型コロナ感染拡大の懸念が広がった。これまで市内で感染者が確認されるたびに書いているが、「現在の状況下では、誰が感染してもおかしくはない。用心に用心を重ねても感染する危険は誰にでもある」ということ。無論、感染拡大防止の最中、大人数の会食や不要不急の外出、日常でマスクや手指消毒を怠るなどの防止策を無視した行為は論外だが。

 今回も感染確認後、「どこの誰が感染したのか」と感染者特定の動きがあったことは残念でならない。仲間内での情報共有ならば理解できるが、SNSや無記名掲示板など感染者を特定するような内容のものがあった。

 気持ちはわからないでもない。狭い壱岐の島であれば、どこかで感染者が出れば感染が広がる危険性は高い。さらに、地域のコミュニティが密であることから、濃厚接触者あるいは接触者になる可能性も高まる。我が身を守ることに加えて、身内に高齢者がいれば感染しないように気をつけたい。だからこそ、躍起になって感染元を探ろうとするのであろうが。

 市や県は、最低限として「何町でどういう状況なのか」ぐらいの情報を示せば、市民間のあらぬ憶測や探りを回避できるのではないか。行政側が情報開示に消極的であっても、この島の情報網は速い。そこからデマや誤報が飛び交うくらいならば、最低限の情報開示は必要だろう。それが犯人探しのような感染者探しの回避にもつながると思うが。

 新型コロナの第4波が落ち着きを見せ始め、本市でも高齢者をはじめとして徐々にワクチン接種が進みつつある。日常がようやく戻りつつあり、宿泊や飲食店などの観光産業やそれに付随する事業者も、苦境からの立て直しを模索している。しかし、東京都などでは再び感染拡大の様相を見せ始め、新型コロナウイルスが変異したデルタ株の広がりも油断ならぬ状況となり、このままなら感染第5波も起こりうる可能性があると言われている。

 先週本市で確認された感染者の中には、観光関連業もいたと聞く。島外からの来客と接触する機会が多い宿泊業や交通関係業、飲食業などは、感染防止を心掛けていても、どうしても感染の可能性は高い。感染を防止するとして、来島客を拒否すれば商売は成り立たずまるで迷路のようなジレンマに陥いる。

 市議会でも度々議論されるが、各港などの水際対策のさらなる強化が必要だ。現状のようなポスター掲示などの警鐘や乗船時の検温だけでは無理があるのではないか。観光関連業などは直接的な感染の危険に晒され、いざ感染が広まれば真っ先に経営的被害を受ける。ここは、知恵を出し合って本市に合った水際対策を考えてはどうだろうか。