2019.7.16施設場所選定前に予算可決、勝算ある計画か

 壱岐島内のある場所に、富裕層をターゲットにしたリゾート施設を作る計画があるが、内容を精査すればするほど疑問点も浮かび上がってきた。この事業には1億4000万円の予算が組まれ、2分の1の国の交付金とともに、本市も一部予算の負担がかかる大規模な計画だ。

 

 しかし、そもそもどこの場所にリゾート地を作るのか、計画案には場所の特定がない。計画や案を進めるには、場所が決まらないと始まらないのが通常だ。場所もわからない計画に1億円以上もの予算は無謀ではないかと思えるが。これまで市内には多くの箱物事業が多額の予算により作られたが、まともに機能したものは少ない。なによりも国や地方は財政難を抱え、確実な有効策のみでないと無駄遣いになりかねないと叫ばれる時代だ。

 建設するならば、リゾート地に使える市有地はあるのか。なければ適地を市内の土地所有者から新たに購入することになるのか。しかし、さらに予算が膨らむ可能性も考えられ、現在ある市有地で行うべきと思うが。もしも市有地ではない場合、どの土地を誰からどのようにして、どのくらいの予算で購入するのか。今のところ公表された計画では全く見えてこない。

 

 巨額の予算を投入する集客目的の施設は、必ず赤字を回避せねばならない。例えば、湯ノ本のサンドームはどうなったか。石田町のマリンパルは当初、陸の水族館のコンセプトだったが運営変更を余儀なくされた。イルカパークも今でこそテコ入れで期待をかけるが、これまでの運営はどうか。現イルカパークは成果を検証するにもリニューアル直後で時期尚早でもある。

 

 以下はいくつかの考えつく疑問点をあげた。

▼世界的なリゾート地の例や、さらに離島となればイメージするのがプライベートビーチの隣接。市も「プライベート空間」を掲げているのであれば、予定地は限定される。しかし、島の大部分には民家や畑がある。市民の生活エリアから離れ、プライベートビーチも備える場所は島内数か所しかない。

 壱岐島全体を航空写真で確認すると、住民が居住する場所に影響なく、計画に添うような、海と緑に囲まれたプライベート空間を実現できる場所はそう多くはない。可能と思われる場所はほぼ5か所ほどある(1面に掲載)。この中でイメージに近い条件は、森とビーチに囲まれた空間であり、さらに3か所ほどに絞られる。これらのいずれかが予定地となる可能性は高いと考えるが、土地所有者との交渉はどうするのか。市は運営企業に任せるというが。実は水面下では決まっているのではないか。

▼施設の管理者、あるいは運営責任者は市なのか、企業か、指定管理者制度なのか。これも今後の公募でわかるが、公平公正かつオープンに選定せねばならない。

▼富裕層を迎え入れる計画であれば、大型高級ホテルが必要と考えるのが一般的。しかし、計画には「大型施設ではない」とし、コテージタイプ4棟と管理棟兼レストランとシンプルなもの。これに一泊10万円もの宿泊費を出す宿泊客はいるのか。

 

 疑問点にあるように、未確定のままの遂行には不安が残る。同計画を実績あるものに導くためには、綿密に将来像を見据えた上でないと、過去の箱物にある失敗の繰り返しを招きかねない。期待を込めた指摘であることを理解してほしい。

 ただ、どうしてもひとつ残念に思えるのが、富裕層などの特定の観光者に向けた新規リゾート施設建設や、市内の既存宿泊施設数件ほどの整備では、島の「魅力向上」は部分的にしかならない。ここまで巨額の予算を組むのであれば、いっそ既存の宿泊施設全てに予算を振り分け、島全体の宿泊施設を「魅力向上」に使うほうが有効ではないだろうか。(大野英治)