2018.8.15教育環境の公平性はどうか

 教室にエアコン設置の記事が思わぬ反響があり驚いている。保護者はもとより、今夏の異常な暑さに危機感を抱く市民が多いことが窺える。
 文科省は毎年のように猛暑となる中での夏の学校環境を危惧。今年4月から学校環境衛生基準を一部改正し、教室内の温度で望ましいとされる基準を「10℃以上30℃以下」から「17℃以上28℃以下」とした。
 また小中学校の普通教室へのエアコンの設置率の全国平均が49・6㌫であるのに対し、長崎県の平均は8・6㌫。その内訳をみると長崎市は小学校が4㌫、中学校では1・7㌫、本市の場合は小中学校全てが0㌫と全国ワーストクラスの状況にある。しかし県内の自治体ではエアコン設置を前向きに検討するところも出てきている。
 ただエアコンが設置されている自治体と、ほとんど設置されていない自治体があり、子どもの教育環境に大きな不公平が生じている問題は確実に存在する。暑さを示す最高気温ばかりに気を取られがちだが、日本の夏は湿度も高い。不快感などからも人体に影響を及ぼす。
 汗だくになりながら授業を受ける環境と、快適な環境にいる生徒との学力差は全く無関係と言い切れるだろうか。筆者の仕事環境からわかることだが、不快な環境は仕事効率が確実に落ちる。効率性に環境が大きく関わることは身をもって理解できる。各県単位でエアコン設置の格差、さらに県内での格差があっていいものなのだろうか。教育行政と教育現場は子ども達に公平と平等を教えているはずだが。
 現在、国は「学校施設環境改善交付金」としてエアコンの設置費用に3分の1の額を補助する。義務教育において教育環境の公平は保証されるはずだ。本市の気温は他自治体より若干涼しいとの意見もあるが、全国の自治体設置率から見れば言い訳に過ぎない。「公平と平等」の観点からも迅速に検討すべきだ。
 これまで同様に繰り返すが、もはや「心と体を鍛えた先に学力が付く」などの根性論や精神論で考える時代ではない。人体への影響とともに、このまま全国自治体の設置率との格差が続けば、生徒らの公平と平等はますます遠のいていく。(大野英治)