2023.2.07政治資金規正法違反で告発

 市議会1月会議の質疑によって、壱岐クリーンエネルギー株式会社(中原達夫代表取締役)から自民党壱岐支部へ、60万円の寄付が行われていたことが発覚した。

 同社の令和3年度収支決算書には、令和3年10月8日付けで60万円の寄付額が記載されていた。前号の社説にも記したが、自民党壱岐支部は国政の党であり、同社は市と民間が合同で出資経営する第三セクターだ。第三セクターの会社が選挙区支部などに献金を行うことは政治資金規正法に抵触する。同法は自治体の出資や補助を受ける会社が、その自治体の選挙の候補者を支持する政治団体に寄付することを禁止している。よって違法の可能性は強い。

 令和3年度の同支部の代表者は江田和夫氏とあるが、実質的な組織内の職務や機能遂行を担うのは幹事長の務めが多い。このことから、寄付金に関する把握や受け取る判断も幹事長が確認している可能性が高い。会計担当とともに、幹事長の管理責任も重い。

 ことの重大さから先月24日、山口欽秀議員は壱岐署に告発状を提出している。告発の趣旨は「政治資金規正法第22条の3」に違反しているからだという。同法には寄付の禁止に関する内容が定められており、違法の場合は厳罰に処される。

 住民からの告発に対し、告訴・告発を受けた警察署の対応として刑事訴訟法上は受理する義務は定められていない。しかし、一方で犯罪捜査規範第63条では受理しなければならないとされている。警察官職務執行法8条で「警察は、刑事訴訟、その他に関する法令及び警察の規則による職権職務を遂行すべきもの」とあるため、正当な理由がない限り、受理する義務を負うという裁判例もある。

 山口議員によれば現在、壱岐署は告発状を受け取ったものの、受理には至っていないそうだ。証拠書類として「自民党壱岐支部が令和4年3月31日に市選挙管理委員会に提出した収支報告書」を添えた。公式に同党が作成したものであり、寄付があった内容に間違いはない。自民党という政治絡みの案件のため、この先、壱岐署がどのような判断を下すのか大いに興味がある。

 また、別の市民は住民監査請求に該当すべき案件ではないかと憤る声もある。同請求は「執行機関や職員による違法もしくは不当な公金の支出、財産の取得、管理等が認められるとして、住民から監査の請求がなされた場合、当該事項について行う監査」とある。第三セクターによる寄付行為に関し行政も無関係ではない。

 今後、関係者らに対して市民の厳しい目と、法による合否判断のメスが入りそうだ。