2020.12.15感染拡大せぬよう再び対策強化を

 新型コロナウイルスの猛威は今も続く。7日現在、世界では累計約6707万人以上の感染者数で、死亡者数は約153万人。国内では累計約16万人以上が感染し、2300人以上が死亡している。本市では、現在まで7例の感染確認があるが、この先、感染拡大の波にのまれてしまうのか、水際で防ぐことができるのか全くわからない。

 人類の歴史は、紀元前の頃から様々な感染症と戦ってきた。医学がまだ未熟だった頃は、感染症の原因や病原体に対する対処方法がわからず、多くの命が失われてきた。19世紀後半になり、医学の進歩とともに死亡者数は激減したというが、脅威は続いている。

 紀元前のエジプトのミイラには天然痘の痕跡が見られるものがあり、6世紀には日本でも流行した。天然痘は1980年にWHOが世界根絶宣言をして以降、感染流行はない。14世紀にはヨーロッパ各地でペストが流行り、2500万人が死亡した。

 今年はコロナ対策によりインフルエンザ流行は抑え込まれているが、世界で4000万人が死亡したとされる1918年のスペイン風邪、1968年の香港風邪、2009年の新型インフルエンザ流行と、未だ根絶まで至っていない。

 他にも、1981年頃に確認されたエイズ、1996年の狂牛病、2002年のSARS、結核にマラリアなど、挙げればきりがない。

 現在、国内では鳥インフルエンザの感染が3年ぶりに拡大している。渡り鳥がウイルスを持ち込むとされ、感染した国内の養鶏場では数万羽が殺処分になった。本市は渡り鳥が飛来する地とされ、厳戒態勢で挑まねばならない。そのため、県では防疫対策の強化を図っている。

 新型コロナも、渡り鳥ではないが、人から人への感染で拡大していくとされる。GoTo政策で人の流れは活発になった。壱岐と福岡をつなぐ船舶内では、乗客があふれ大声で話す光景を頻繁に目にする。どこかに気の緩みがあるように見えてならない。現在の水際対策と島内の受け入れは、十分な態勢と言えるのか。この先、感染の波にのみ込まれるような事態だけは、避けねばならない。なぜなら、この島は高齢者が多く住む島だからだ。(大野英治)