2019.12.24市民生活に直結の案件は迅速に

 市山繁議員が一般質問で発した「道路は通行できて当たり前。冠水しないことが当たり前」が心に大きく響いた。周辺住民や市民の声にある当たり前のことを当たり前に伝えることで、住み良い町づくりが構築されていく。

 しかし、市は少なくとも平成29年の豪雨被害を含め、芦辺町中山干拓中央線の冠水をかなり以前から把握していたはずだ。今年起きた同道路の冠水被害時には「今のところは地域住民から対策の要望は来ていない」と答えていた。しかし、当紙には以前から対策の声が届いていたことから、状況把握や情報収集の差には釈然としないものが残る。

 以下に、今年8月の冠水被害時の記事の一部を再掲した。当時の市民の声が表れているからだ。

 …8月28日未明から降り続いた大雨は、本市で400㍉を超える記録となった。大雨と満潮時が重なったため、市道中山干拓線周辺が、冠水により通行止めとなった。29日午前8時頃には、車両が通ることができないほどの雨水があふれた。前日28日夕方からは断続的な豪雨となり、結果的に翌朝には大潮の満潮と溜まった雨水による冠水が発生した。

 午前8時過ぎ、道路は通行止めとなり、通過する車両は迂回路に回された。それから午前11時半頃、満潮の潮も引き始め、同時に前日からの雨も小康状態となり、道路の冠水も落ち着いた。

 市は、雨水が引いて通行可能と思われる状況から約2時間後の午後1時半に規制解除している。その間、周辺住民や通行車両はいつになるかわからない規制解除を待ち、中には通行止めを示すパイロンを勝手に外し通行する車両も現れた。道路上の安全確認のため、即座に規制解除にならないことはわかるが、監視する担当者もおらず放置された状態だった。

 道路が冠水した場合には、市民生活に支障がないよう、周知のための迅速な情報発信と、現場確認、交通規制の判断が必要だ。現在の対応を見ると、どこか緩みを感じてしまうのは気のせいか。また、市建設課には冠水する道路について地域住民から対策要望の声はないと言う。しかし、当紙ではいくつか声を受けている。この差は何なのか。なぜ市民の声が届いていないのか。冠水被害が起きていることは事実だ。率先して対策に講じねばならない立場にいるのではないか…(本紙366号、9月6日発行分より)。

 改めて読み返してみても、まさしくその通りだ。ようやく道路整備に着手するめどが見えてきたが、生活に関わる案件の市民からの要望は、迅速な対応と真摯な姿勢を示してもらいたい。(大野英治)