2019.8.06二転三転の遅延理由、何が本当なのか

 市議会7月会議が開会され、議案に挙がった芦辺中新校舎建設の件でいくつかの疑問点が浮上した。

 大きな問題ではないのかもしれないが、一つには校舎完成予定日と工期延長の認識の違いについてだ。同議案審議の場で植村圭司議員が「人員不足が工期遅延の理由なのか」との問いに対し、久保田良和教育長は植村議員の認識に対して「校舎完成の工期を10月末まで伸ばしたわけではない」と意見した。3月議会での繰越明許の可決はあくまで「工期は7月31日ということで理解願いたい」と念を押した。この意味は、建設業者に対しての遅延金請求は7月31日以降から発生するとの意味に受け取れるのではなかろうか。

 

 言葉の解釈として、工期予定と完成予定を使い分けているが、実質的な校舎完成は10月28日になることは公表されている通りだ。

 解釈の違いを埋めるのは、議論の場として必要かもしれないが、芦辺中生徒や保護者にしてみれば、10月末以降完成と移転はそれ以降になる事実は変わらない。工期延長、あるいは工期遅延のどちらの解釈であろうが、同じことだ。どう言葉を使おうが、10月28日まで工事を終えることはできない。

 この議論で重要なのは、建設業者に対して工事遅れの遅延金請求期間はいつからいつまでを指すのか。現在までに、遅延金発生についての詳細は、市や市教委から公の説明はない。

 

 そして、校舎建設の工事が遅れてしまった理由に、釈然としない部分があることがわかった。

 植村議員は「市教委から同工事の繰越明許費の申し入れが3月議会であった。議会での説明と、当時の施政方針に『芦辺中学校校舎改築及び改修工事については、建設用地内に農水管があり現況調査及び対策協議等に不測の日数を要し、当初計画から3か月程度遅れており、今回、繰越明許費を計上しております』と明確に説明している」と指摘する。

 

 ここで一つの疑問が起こる。工期の延長が公表される3月議会前、2月8日発行の本紙338号では「芦辺中校舎建設が大幅な遅れ」の記事を掲載した。この時の取材で教育次長は「校舎の遅れは、前年の豪雨被害による復旧工事の影響で、人員不足があった」と説明した。約一か月のわずかな期間で、遅れた理由の説明が違っている。

 

 そして、その後の6月議会全員協議会の場で教育長は「昨年10月以降から工程が徐々に遅れてきたことは、工事にかかる人員不足と推測する」と理由を述べている。また、白川市長も教育長の説明に続くように「今回のような事案が二度と発生しないよう、再発防止策に万全を期す」と述べた。市長と教育長は、共に建設会社側の人員不足が遅延理由とすることを前提に、謝罪の弁を述べていた。

 繰り返すが、3月の施政方針では「建設用地内に農水菅があったため」の不測の事態を理由とし、人員不足の遅延理由は述べられていない。

 

 どちらが本当の遅延理由なのか。なぜ繰越明許を計上する3月議会だけが「用地内に農水菅が見つかった」とするのか。施政方針以前の2月の本紙取材時と、以降の市議会6月会議では、なぜ人員不足のみの説明にしているのか。植村議員を除く他議員は、この件について疑問は起きないのだろうか。(大野英治)