2022.4.19せめて必要最小限の情報公表を

 島内での新型コロナウイルスの感染者が再び増加に向かい、市民から不安の声が出始めた。「人口比率で、県内はおろか全国的に見ても高い感染者率ではないか」と戸惑いや、「感染防止のための情報が少ない」など不安の声は多い。

 専門家の分析では、過去の感染者数は東京など関東圏や関西などの都市部が多かったとする。しかし、今回の感染再拡大はこれまで第6波での新規感染者数がそれほど高くなかった地方で過去最多を更新するなど顕著に現れているという。

 このような地域差が生まれた理由には、過去の感染による免疫獲得の比率が影響しているようだ。つまり年明けからの第6波で感染ピークが高かった地域ほど免疫獲得が多いことが地域差を生む理由だそうだ。

 離島の場合、島内で感染が確認されれば一気に広がりやすい傾向にある。理由には、町や店で顔を合わせる機会の多さや、同じスーパーや商店の利用など行動履歴が近いことなどが挙げられる。感染者率が高く、狭い面積であればあるほど陽性者との接触率は上がる。

 県公表の「県内の発生状況」には、以前であれば年齢や職業、症状、濃厚接触者数や接触者数が掲載されていたが、2月以降からは感染者数以外の情報はない。市内で感染者が確認された場合、夕方6時過ぎの防災無線で市民の生命や安全を守るための緊急情報として放送が流れるが、日々の感染者数のみの公表になっている。

 この情報の少なさから、当紙には「陽性者の年齢や職業、接触者数など教えてはもらえないか」と市民からの問い合わせがある。「感染しないよう、拡大させないように自らの行動に制限をかけたいが、何の情報もないままでは防ぎようがない」という。

 先にも述べたが、離島は人間関係が密であり、島民同士の行動履歴は近い。たまたま立ち寄った店で感染する確率は都会より高い。県や市は、せめて2月以前のような陽性者状況を再び公表してはもらえないだろうか。以前の「県内の発生状況」の内容は、決して陽性者個人の特定には至らないはずだ。

 狭い島で憶測だけが飛び交い、誤報が混じったうわさが飛び交うよりも、最低限の情報があったほうが感染防止につながると思うのだが。これは市民の要望でもある。ぜひ一考願いたい。