2022.1.25この矛盾の回答を市へ求む

 壱岐イルカパーク&リゾートの指定管理者に指名されている、イキパークマネジメント(株)代表の税金滞納によって同社本社所在地の不動産差押え処分は大きな衝撃だった。年も押し迫った先月21日に滞納が発覚し、わずか2日後の同月23日本会議は、採決の最中に突如約40分の休憩。その間に急きょ全員協議会(全協)を開き、そこで市長ら執行部から報告を受けたという。全協の一部始終は市民やマスコミには見えない場で行われ、公に内容は知らされなかった。

 この時に税金滞納による不動産差押えを知った市議会は、詳細な事実確認や事態に関する審議を経ないまま、指定管理者指名の採決を決めた。結果、市議会の判断は賛成多数で可決となった。

 議会を終え、現在に至るまで当紙にはさまざまな意見が届く。そのほとんどが「議会は何をしているのだ。なぜ可決なのか。税の滞納がある業者に市の事業を委託することは正しいのか」とその声は厳しい。当然の疑問であり、常識で考えても理不尽さは拭えない。

 全協で市長や執行部は「たとえ業務を委託する会社代表の税金滞納であっても、個人と会社は別もの。法律的に問題ない」として、議会を納得させた。一部の議員も「市長が問題ないと言っている。この本会議で採決すべき」と同調の発言もあった。これが正常な行政の姿と言えるのか。納税は市民の義務であり、行政運営の根幹ではないのか。

 この事態が起きたわずか数日後、市は「財政基盤確立計画」策定を公表した。内容には「健全な財政にするため、市民の受益者負担を適正化し、事務事業や公共施設運営などの見直しをし、会計負担の抑制をする」とある。ごみ処理手数料や公共施設利用料、上下水道料の値上げ、公共住宅、保育料など未納の回収を強化するという。ようするに市民へ「滞納など回収を強化します」と宣言している内容だ。

 指定管理者の税金滞納の対応と、財政基盤確立計画による市民への対応に大きな温度差と矛盾を感じないか。記者の頭では到底理解ができないので、市は分かりやすく説明してもらえないだろうか。

 そして、もう一つ疑問となる問題がある。昨年9月に市が作成した「イルカパーク指定管理者募集要項」だ。全53ページに及び公募内容が記載される。その中に「指定管理者の資格審査」があり、4項目には「市県民税、消費税等、地方消費税等、固定資産税、特別土地保有税及び事業所税並びに各種使用料の未納・滞納がない団体であるか」とされ、「書類審査時点以降、上記審査項目の不適合に該当した場合は、指定管理者としての資格を喪失したものとします」との記載がある。

 事業主が市長に対して示す申込資格申立書には、「壱岐市に納めるべき税、使用料、手数料等に未納又は滞納がある者は該当しない」とされ、指定管理者公募の申し込みはできないとされる。要するに公募基準に反し、すでに応募段階でその資格がなかったと解釈できる。

 そもそも公募の段階で市は把握していたのか。本当にまともな審査を経ているのか。これら矛盾の回答を市長や担当課はせねばならない。「真面目にやっている人が馬鹿を見る」このような市政に思える。