2021.2.16「ばれなければ良い」は通用しない

 新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が発令されている中、国会議員らによる会食が問題視された。今月始め、公明党の遠山清彦衆議院議員は、緊急事態宣言が続く中、銀座のクラブを訪れていたことなどが明らかになったのを受けて、政治不信を招きたくないとの理由で議員辞職の意向を表明した。他にも、松本純元国家公安委員長ら自民党の衆議院議員3人が離党した。

 本市でも、12月18日に市長ら三役と市議、市職員幹部らによる大人数の会食が問題となった。年末年始に本市で発生した新型コロナ感染拡大は、新たな感染者もなく、療養者もゼロとなった。今回の市内コロナ感染は収束と見ていいだろう。しかし、感染者ゼロの収束と、大人数での会食自粛を呼びかける中で開かれた宴会についての事案は別物だ。この不祥事はとても収束だとは言えない。

 国レベルでは議員らの会食について、さまざまなマスコミが意見を述べている。毎日新聞の社説を抜粋すると「会食の発覚直後、党執行部は注意や役職の辞任程度で乗り切る姿勢を見せていたが、支持者らの反発は想像以上に大きかった。模範を示すべき国会議員の非常識な行動にあきれるほかない。国民の生活を縛りながら、その法律を決める国会議員は自分に全く甘い。多くの国民はそこに特権意識を感じ取り、不信を募らせているに違いない」とし、「猛省が必要だ」と戒めた。沖縄タイムズでは「嘘がまかり通る異常」と書いている。

 日本農業新聞に掲載されたタレントの島田洋七さんのコラムが、本市で起きた会食の状況にも当てはまる部分があり、大いに共感した。

 コラムには「会食についてルール化した議員がその後、好き勝手に会食したり飲み歩いたりして、国民には『自粛しろ』と言っても何の説得力もない。議員が率先して正しい姿を見せるべき」とある。さらに「みんなが苦しんでいる今だからこそ、議員はボーナスカットはもちろん、給料を削減してもいいくらいと思う」と考えを述べている。

 本市の場合はどうだったか。市民に向けて会食のルールについてのメッセージを発した同日、市長と議員らは会食していた。島田さんはコラムで、事後に何を言おうが「説得力がない」と述べた。しかも、会食した日から1か月も経った後に市長や市議会議長は市民に向けて謝罪した。この1か月間の空白は何だったのか。当初は隠し通そうとした事実がばれたことで、慌てて謝罪を述べたのではないのかとさえ勘ぐる。

 自民党の松本元国家公安委員長は、当初、銀座のクラブにはひとりで行ったと説明していたが、他に2人の議員も同席していたことが後になって明らかになった。緊急事態宣言下で飲み歩く行動以上に、嘘をついたことが大失態となり役職を辞任することになった。

 これらすべての事案の当事者は、「ばれなければ良い」との考えが頭をよぎったのではないのか。しかし、国民や市民はそこまで馬鹿ではない。本市のコロナ感染拡大が収束した現在、今後はルールを破ったことの収束への道筋、そして、事業者への支援で収束ができてこそ、本当の収束と言える。(大野英治)