2023.5.23「ずさんな処理」市民が不信感訴え

 3月20日付けで住民監査請求を起こした、芦辺町在住の住民(請求人)による「令和4年度認定こども園施設整備交付金」について12日、市監査委員からの結果通知があったことが請求人からの報告でわかった。

 前回号の記事を再掲すれば、請求人は「同園建設のための交付金協議書に記載された住所と実際の同園建設予定地が一致しない」「市こども家庭課が作成した同交付金協議書に虚偽記載がある」との申し立てだった。

 具体的には、「協議書によれば、同園建設場所は『郷ノ浦町田中触1147』と記している。同地は県が指定した土砂災害警戒区域の非常に危険な土地であり、こども園を建設できる平坦な土地ではない」とした上で、「協議書に記載された同園建設予定地『田中触1147』は、実際の建設予定地とは一致しない。これまで公式に提示してきた建設予定地は、税務課の地番図で確認すれば『田中触950-1、950-2、950-3、950-4、950-5、950-6』であり『1147』は予定地の後背地だった。市が県に申請した交付金協議書に虚偽記載がある」と指摘した。

 たびたび市議会の答弁にある、市こども家庭課の説明にも疑問を呈した。「同課は、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)での施設建設は問題ないと言った。しかし、法律では県知事の許可が必要なはず。許可を得ずに建設計画を進めていた。さらに同課は、市民が要請した情報公開請求で、協議書記載の借用の相手を黒塗りで消す行為をした。」という。これらの内容に対しての監査請求だった。

 これら住民監査請求の内容に対し、市監査委員の審査結果は次の通りだ。

①請求人は同園建設予定地が危険な土地であり、こども園を建設できる土地ではないと主張するが、事業者は建築基準法第6条の2第1項の規定による確認済証を取得し、国へ交付金申請し承認されている。

②請求人は、市議会が虚偽の協議書で予算を認定したとするが、書類確認と関係職員への調査の結果、偽造変造とは認められない。

③事業に係る補助金などの予算措置はされたが、事業者への補助金交付は行われておらず、損害の発生は認められない。

 これらの理由により、監査委員は「監査の結果、住民監査請求の対象とならないものと判断し、却下する」と結果を示した。

 結果通知を受けた請求人は15日、当紙の取材に対し「到底納得できない。請求内容の指摘は、議会の議決を通過している。監査委員は住民監査請求の制度や要綱を熟知し、過去の判例などを精査した上で決定すべきだ」と反論した。

 昨年5月末から3月までの約10か月間、市民に疑問と動揺が走った認定こども園施設計画。結果的に事業撤退による中止が決定したが、一部とは言え、まだ納得できていない市民はいる。関係各所がルールに沿った仕事をこなしてさえいれば、市民の不信感は生まなかったのではないか。